今月の書評-89

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何とか縮小傾向が見られるかな?ってカンジのコロナですが、まだまだ終息には程遠いのが現状です。って言っているうちに早くも世間は五月の連休シーズンに突入!って言ったところで何処もかしこもお休みですし、外でブラブラしてるとお巡りさんに捕まってしまいそうだし、どうすりゃいいの?っていうカンジの日々を過ごされているであろうみなさん!元気にマスクしてますかあ~!!!

さて、そんな皆様のために、センセは連休中でもブログを書き続けています。
本日はタイムリーに、長江下流域~稲作~倭人~お酒に弱い~感染症、という、一見なんの関連もないと思われるけど実は・・・というテーマで書いてみたいと思います。

今月の書評-87」でちょろっと書きましたが、長江流域~華南地域は、古来より、感染症の多発地帯です。日本人にはおなじみのインフルエンザなども「ホンコンA 型」とかナントか言う名前もよく耳にしますし、しばらく前に流行ったSARS とか、あるいは鳥型インフルエンザなどもこの地域が発生源です。

これに加えて今回の新型コロナです。

色々な原因が考えられますが、基本、水田稲作耕作に適した湿地が多いことから南方北方からの渡りの水鳥が多数飛来してくる状況に加え、昔からブタの繁殖が盛んであったため、水鳥からブタへの感染~ヒトへの伝播、という流れは、少なくともインフルエンザの場合、確立された経路となっています。

今回のコロナにおいては、White House の住人は除き、一般的にはコウモリあるいはセンザンコウなどの野生生物由来では?と考えられていますが、野生生物の存在に加え、その周囲の人間の密集度なども大きく関与していると思われます。

で、興味深いのが、この地域の住人は非常に高い割合でお酒に弱い遺伝子を持っている、という事実です。知ってた?

この遺伝子は、現代日本人の間にも非常に高い確率で認められます。

正確に言うと、ホモサピエンスの大多数はアルデヒド脱水素酵素(ALDH2) という酵素を持っているおかげでお酒を飲んでハッピーになれるのですが、
この酵素を作るALDH2 遺伝子には正常型と変異型がありまして、お酒に強いタイプ(ホモサピエンスの大多数です)のヒトは正常型を、弱いヒトは変異型のALDH2 を持っています。

もっと正確に言うと、父親と母親の両者から正常型を受け継いだヒトは、普通にお酒が強いです。で、両親から共に変異型を受け継いだヒトは、全くお酒が飲めませぬ・・・。

問題は、片親からは正常型、片親からは変異型を受け継いだヒトで、これらの人々は、ある程度、飲めます。
で、みなさんもご承知の通り、お酒は鍛えるとある程度飲めるようになりますので、社会人になって宴席に侍るようになると、特に男の子は、何とかして一人前として認められたい一心で、「飲めぬ酒を無理に飲む」ような状況になります。
で、一昔前は「これぞ通過儀礼じゃ!」みたいなカンジで「イッキ!イッキ!」なんてやらかしていたわけですが、このようなことはとんでもないことである!ことが段々と分かってきました。

お酒に対して強い弱いを決める遺伝子には、実はALDH2 の他にアルコール脱水素酵素のADH1B (昔いうところのADH2 )があり、両者相まって酒への耐性が決まるのですが、そこまで突っ込むと小難しくなるのでやめ!
ALDH2 一本鎗で攻めていきます。

で、ALDH2 酵素はどのような働きをするかというと、まずはお酒の中のアルコール(エタノール)がADH1B によってアセトアルデヒドに分解されます。アセトアルデヒドには強い毒性があるので、速やかに分解しなくてはなりません。
で、このアセトアルデヒドを酢酸にまで分解してアセトアルデヒドによる害を除去してくれるのがALDH2 、というわけです。
で、ALDH2 遺伝子の変異型を受け継いだヒトはアセトアルデヒドの分解能力が低いわけですから、当然ながら、アセトアルデヒドによる毒性が持続します。
その結果、短期的には動悸がしたり冷や汗が出たり吐き気がしたりという、急性アルコール中毒症状に襲われます。

で、短期間ならば二日酔いでへたばるだけですからよいですが、飲めないくせに強くなろうとして長期にわたって無理して飲むと、アルコールによる悪性の病気の代表格である「ガン」、特に食道ガン、咽喉頭ガン、舌ガンに罹患する確率が高くなります。これに加えてタバコを吸うヒトであれば、上記のガンにかかる確率はさらに上昇します。アルコール、あるいはアセトアルデヒドによる粘膜の炎症部位からタバコ中に含まれる多くの発ガン物質が侵入し、粘膜細胞のDNA を痛めつけ、細胞の変異が生じ、悪性化し、そして・・・・。
というカンジです。

ALDH2 遺伝子の変異型を両親からもらったヒトはお酒は全く飲めないので、アルコールによるこれらのガンに罹患する確率は、当然、現実的には低くなります。
注意すべきは片親からのみもらったヒトで、中途半端にお酒が飲めるもんだから、飲んでしまいます。加えてタバコなんかも吹かしたりします。

この、ALDH2 の変異型を持っているヒトがお酒を飲むと、多くの場合、顔がすぐに赤くなるので分かります。

実際にセンセのお友達の中でも、高校時代からカッチョつけてタバコ吸ったりお酒を飲んだりしていた連中が結構おりましたが、中でも顔が赤くなるタイプの連中が何人かおりました。

で、多くが、50 ~60 歳台で上記のガンで他界してしまいました・・・。

お酒を飲んで顔が赤くなる方々、くれぐれも無理な飲酒とタバコはお控えくださるよう、心よりご注意申し上げます。



本論から大きく外れましたが、これはこれで良かろうと思います。

次回は本論に戻ります。



 




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このページは、喜源テクノさかき研究室が2020年5月 3日 11:07に書いた記事です。

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