今月の書評-90
戒厳令はまだまだ続くと大本営が先日発表しましたが、センセのところには、未だにマスクは届きませぬ・・・。
さて、お酒遺伝子のALDH2 ですが、これの変異型が生まれたのが今からおよそ2 万年前の長江下流域から華南にかけての地域です。以下の地図参照。
ALDH2変異型の分布図 https://twitter.com/4ki4/status/952256130905907200?lang=ca
色が黒くなるほど変異型を持っているヒトの割合が高いことを表しています。
コロナで有名になった武漢市は、丁度華南の黒域のてっぺんあたりに位置します。
この地図では欧州~アメリカ大陸~アフリカ大陸などは省略されてますが、その理由は、変異型を持っているヒトのほとんどはアジア人だからです。
このことから、この変異型を有しているか否かで、過去にアジア人、特に華南出身者との混血の有無を判定できるほどです。
さて、日本人の間でも、この変異型を有するヒトが多いことを前回述べましたが、より具体的には、両親から正常型(お酒に強いヒト)のみを引き継いだヒトは全体のおよそ50 %、両親から変異型(全くお酒を飲めないヒト)のみを引き継いだヒトはおよそ4 %、そして残りの40 %くらいのヒトは、片親からそれぞれを受け継いだ「強くはないが、一応飲めるヒト」に分類されます。
さらに各都道府県別にそれぞれの割合をみたのが、下の表です(ウイキより改変)。
正常型の保有率が高い都道府県(%)
順位 都道府県 正常型/正常型 正常型/変異型 変異型/変異型
1 秋田県 76 23 1
2 岩手県 73 23 4
3 鹿児島県 76 20 4
4 福岡県 70 29 1
5 栃木県 70 24 6
6 埼玉県 68 27 5
7 北海道 66 29 5
7 沖縄県 66 29 5
9 熊本県 66 28 6
10 高知県 63 34 3
正常型の保有率が低い都道府県(%)
順位 都道府県 正常型/正常型 正常型/変異型 変異型/変異型
1 三重県 36 54 10
2 愛知県 41 47 12
3 石川県 45 44 11
4 岐阜県 48 42 10
5 和歌山県 52 37 11
6 大分県 51 41 8
7 広島県 49 48 3
8 大阪府 54 37 9
9 奈良県 57 32 11
10 岡山県 52 44 4
一見して分かりますが、従来より経験的に知られていた「お酒の強い連中の多い県」=正常型の多い県であり、「お酒の弱い県民」=変異型の多い県です。
加えて、これに縄文系のDNA 型を当てはめてみると、相当に一致することも見て取れます。
ま、ここまでは、従来から指摘されてきたことですが、ここから少し毛色の変わったお話となります。
まず、最初の図を見ていただくと気が付くと思いますが、江蘇省から九州にかけて一つのまとまりを示す形となっており、朝鮮半島は含まれておりません。
また、朝鮮半島の色は、日本と比べて必ずしも濃ゆくはありません。
ならば、というので、現代韓国人のALDH2 遺伝子の変異型を調べたところ、先に述べたように日本人の間の変異型の割合がおよそ44 %くらいであるのに対し、現代韓国人の変異型保有率は28 %と結構低いです。たぶん、統計的にも有意差が生じるであろうほどです。
となりますと、これまでも述べてきたように、これらの事実は、倭人の故郷は現在の江蘇省沿岸地域であり、少数がまず初めに半島南岸に橋頭保を確保し、その後に多くの者が直接列島に流入した可能性を示唆するものである、と考えます。
一方で、表の中、正常型の保有率が福岡県で相当に高いのが、実に興味深いところです!なぜならば、福岡はまさに弥生時代の核心地域であるわけで、倭人の活動の最中心であると目される地域であるからです。
であるならば、福岡は少なくとも表の下段に含まれて然るべきかと思われますが、実は上段の、しかも上位に位置します。
で、福岡の% が30 %で現代韓国の% が28 %・・・。
何かを示唆しているような気がしますが・・・。
弥生時代、確かにナカナカ複雑な、一筋縄ではいかない時代です。
さて、ALDH2 の変異型と感染症との関係については、次回に!
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