今月の書評-68

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このところ新型コロナ肺炎で大きく揺れ動く世間ですが、坂城のスーパーでもマスクが売り切れ状態です。
ここ数日、長野には久方ぶりに寒波が襲来して厳寒状態が続いておりますが、天気予報によれば、来週半ばくらいから春の陽気になるとのこと・・・。

ウイルス感染が終息するのもそろそろ良いコロナ、と思いますが・・・。


さて、長江下流域で水田稲作文化を発展させたオーストロアジア系の連中ですが、大別して2 系統に分かれます。
YDNA でいうところの、O1b1 系の人々とO1b2 系の人々です。
ザザッと言って、長江以南の連中がO1b1 、以北の連中がO1b2 だと思ってOK だと思います。

で、「今月の書評-64」で述べたように、およそ45004000 年くらいまえ、寒冷化に伴う混乱により、O1b1 は南方に拡散し、現在のベトナムから東インドにまたがる地方に水田稲作技法を伝えることとなります。

一方のO1b2 ですが、北方の黄河文明を築いたYDNA でいうところのO2 系の連中、いわゆる「漢族」ですが、と文化的~肉体的に混交し、中原に「夏(か)王朝」を打ち立てるまでになります。

この夏王朝ですが、面白い話が残っています。それは、長江中流域で水田稲作農法に基づく大渓(だいけい)文化をもたらしたミャオ族(苗族・モン族)と夏王朝との間で中原の覇を争う大戦を行ったというお話で、戦に敗れたミャオは、その後に南方に逃れていったということです。これは中国の「墨子」に記載されているだけでなく、ミャオ族自身の由来神話にもそれをうかがわせる内容があるので、ナカナカ信憑性のある話かと思います。

現在でこそミャオ族は中国の少数民族の代表みたいなカンジで扱われ、しばしば日本との文化的類似から「ミャオ族こそが日本人のルーツだ!」みたいなカンジで扱うヒトもおりますが、古代のミャオ族はもともとは北方にルーツを持つ強大な部族の一つであり(一説にはチベット系の羌(きょう)に由来するとも)、夏との戦争に敗れたのちは長江流域に強大な国を作り上げ、いわゆる戦国の七雄の一つである「楚(そ)」の国は彼らが打ち立てた国である可能性も指摘されるほどです。

ちなみにミャオ族のYDNAO2 に含まれますが、「漢族」とは少し異なるO-M7 に属します。

YDNA O1b1.jpg
現在のオーストロアジア系(O1b1)の分布 ウイキペディアより

YDNA O1b2.jpg
現在のO1b2 の分布 ウイキペディアより


上の図は、古代、長江流域で稲作文明を発展させた人々の子孫の、現在の居住域を示したものです。いろいろと考えさせられる分布だと思います。以下・・・。

1) 稲作の拡散と見事に一致している。
2) 本来の居住域からはほとんど駆逐された。
3) 満州にO1b2 が多いって、どういうこと?
4) O1b1O1b2 って、文化的~言語的にどれぐらい共通点がある?

などなど・・・。

いよいよ話が面白くなってまいりました!
この続きは昼食後に・・・。




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このページは、喜源テクノさかき研究室が2020年2月 9日 09:50に書いた記事です。

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