昭和40年代:時代と音楽-27

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ビートルズ登場時のインパクトに関しては、センセは未だ小学生だったので、リアルタイムでは知りません。でも小学6年生くらいになったとき、友人と、「ビートルズとローリングストーンズじゃ、ビートルズの方が人気があるのは当たり前だよな!」なんて会話をしたのを覚えてます。リバプールサウンド華やかなりしこの頃、常にビートルズとローリングストーンズが比較されておりました。

ビートルズというのは、本当に奇跡的なグループだと思います。まず初めにジョン、ポール、ジョージがたまたま出会って結成したアマチュアバンドですが、音楽的才能をひとまず横に置いといて、兄貴分のジョン、甘いマスクのポール、ハンサムなジョージと、既にルックス的にもキャラクター的にも役者がそろっているわけです。これに後から三枚目的なリンゴが加わって、あたかも誰かが意図して作ったかのような、実に絶妙な個性のワンセットができあがったわけです。実際、モンキーズの場合は最初から「ビートルズに対抗できるようなキャラクターの個性」を人為的にかき集めて作った寄せ集めバンドだったわけですが、ビートルズは全く偶然に、そして自然に、あの四人組となったのです。

奇跡的だと思いませんか!?

かたやローリングストーンズ・・・。そろいもそろって、その、、、ええっと、なんちゅうか、町の吹きだまりにでもたむろしているような、「とても個性的な造作のヤングマン!」が集まったな、というカンジですので、あ、こりゃ初めから勝負にはならないわな・・・。
けれどもやはりその、人間の心理というのは不思議なもので、あんまし出来がよいと反発も生じるようで、ファンの間でも、「あのB細工さが良いっ!」ってえのが多かったようですね!でももちろん、ストーンズ独自の音やスタイルが確立されるにつれて、本当にロックが好きなファンの心をガッチリとつかむこととなっていきます。

ビートルズの場合、ルックスその他の要因も確かにあったとは思いますが、本質的にはレノン-マッカートニーの音楽の才能に大成功の要因があったのはもちろんのことです。両者とも本格的な音楽教育なんぞ受けたこともなく、ただひたすら自らの感性と聴衆の反応を指針として、あのおびただしい名曲の数々を生み出していきました。そして、この二人に感化され、その後にはジョージの才能も開花し、「Something」に代表されるようないくつかの佳曲を作り出すこととなりました。
残念ながら、リンゴだけはあまり感化されなかったようですが・・・。

中学時代に「Hey Jude」を聴いて音楽に目覚めたセンセですが、最初に買ったレコードが、アルバム「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」。二つ折りのアルバムを開くと、あの軍服を着た四人組の写真があるわけですが、中でもジョンが放つ独特のオーラにセンセは魅了され、ジョン・レノンこそは、その後のセンセの青春時代、まさに長らく「偶像」であり続けました。ジョン・レノンの呪縛が解けるまでには、彼の死後しばらくの時を要することとなったのです。

今現在、世界中でイスラム過激派が厄災を振りまいておりますが、少年少女を問わず、どういうわけか、あのような過激思想に共感して組織に合流しようと試みる年少者~若者が後を絶たないと聞きます。あるいはまた、過去にも赤軍派や紅衛兵運動があり、ヒッピー文化が花開いた時期がありました。
親や周りの大人はこのような若者の行動をなかなか理解できないとは思いますが、これを理解するためには、思想の内容云々以前に、やはり思春期~青年期という、ある種特別に感受性が高まる時期を人間という動物は生得的に保持しているのだ、という生物学的事実を、まずは社会がはっきりと認識する必要があると思います。恐らくは、ヒトが高度な社会性を有していることへの進化論的な対応の結果だと思うのですが、部族社会の中で生きていた時代の同族に対するアイデンティティーの同化の必要性がほとんど失われつつある現代社会、あるいはむしろそのような同化に対して自由放任主義の立場から否定のレッテルを貼りがちなリベラリズム思想の強い現代社会の中では、ナカナカこのような「生得論」的な考え方は受け入れられないのかもしれません。その結果、青少年は不安定となり、「自分の居場所」を見失い、ある種、確かな指針を与える極端な教義に対して脆弱となるのかもしれません。ある意味、ナチス以前のワイマール共和国時代がそうであったように、過度なリベラリズムそのものが、このような行動を育む揺籃となっているのかもしれません。

難しいことを述べました・・・。


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このページは、喜源テクノさかき研究室が2016年12月22日 20:20に書いた記事です。

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