腸管免疫のお話 その四

| | トラックバック(0)

やっぱり祝日まで更新出来ませんでした。毎日忙しうて、堪りませぬ。暑いし、、、。特に今日はあづい!おまけに湿度がベラボーに高い!九州では大雨だし、、、。

いきなりの愚痴で、すみませぬ、、、。

で、皆様はいかがお過ごしですか?本日は7月16日で、「海の日」だそうです。「海の日って、いったい何?」と思いまして調べましたところ、実は明治時代の「海の記念日」に因んだものだそうです。でも大部分のヒトは由来はどうでも良くって、「休めりゃいいじゃん!」ってカンジだと思います。私もそうです。ですからここは一つ、「山の日」、「川の日」、「平野の日」、「森の日」、「林の日」、「草原の日」、「田んぼの日」、「畑の日」、「休耕田の日」、「人工造成地の日」とか作ればいいじゃん!・・・とか・・・・・・・。暑さが頭に、、、、。

さて、前回の続きと致しまして、「腸管免疫のお話 その四」です。

前回は、腸管のパイエル板から細菌などが積極的に取り込まれるお話を致しました。積極的に取り込まれた細菌がマクロファージや樹状細胞などによって消化され、その特徴、いわば「人相書き」が多くのリンパ球によって認識され、これらリンパ球が、リンパの流れや血流にのって体全体の粘膜組織に分布して行く様子をマンガで示しました。皆様、ご理解いただけましたでしょうか?

ここで大事な事は、「ヒトの体は腸管を通して積極的に細菌などの異物を体の内部に取り込んでいる!」と言う事実です。腸管免疫に関する学問が発達する前は、ヒトの体はただ単に病原菌を含む細菌やウイルスの進入に受け身に曝されているだけだと考えられておりました。しかしながら、パイエル板やM 細胞の働きが明らかになるにつれ、ヒトの免疫組織というものが、如何に能動的に自らを育て上げているのか、そのダイナミズムが次第に明らかとなって参りました。

今回は、体全体に分布したリンパ球がその後どのような働きをしてくれるのか、マンガを交えてお話致します。まずはマンガを見てください。

 

杯細胞 本番-1.gif どこから始まるのか、ちょっと分かりづらいかも知れませんが、吸収上皮細胞が層をなして並んでいる腸管粘膜の図のところが最初の場面です。この場面では、二つの重要な細胞が登場します。一つは黄色で示した杯(さかづき)細胞、もう一つは画面の下の方に三つ並んでいるピンクの丸い形の細胞の、形質細胞です。

杯細胞は腸管管腔内に粘液を分泌する役目の細胞で、腸管粘膜にたくさん存在しています。図では、水色のモコモコしたもの(粘液のつもり)が黄色の杯細胞から放出されるさまを表現しています。

もう一つの形質細胞ですが、これは、前回お話した、体全体に分布したリンパ球が変化したものです。病原菌の人相書きを教えられたリンパ球が体全体の粘膜に分布し、その後、IgA というタイプの抗体を分泌する細胞に変化します。これが形質細胞です。図では、リンパ球は腸管粘膜に戻り、そこで形質細胞に変化した、と見なしています。

形質細胞が、何かカギ型のようなものを発射していますね!これがIgA 抗体です。IgA 抗体はY字形が二つくっついた形をしているのが特徴です。加えて腸管管腔内に分泌されますので、消化液などで消化されないような仕組みも備えています。

さて、図では、形質細胞から大量に分泌されたIgA 抗体が杯細胞から分泌された粘液中に放出されるさまが描かれています。粘液中のIgA 抗体は、腸管管腔内から腸管粘膜にたどり着こうとする「病原菌」に対し、前回お話した「さすまた」効果を発揮して、これを捕らえ込めようとします。Y字形が両面にありますので、「さすまた」効果も二倍になります。このようにして捕らえ込められた病原菌は、ネバネバとした粘液中で身動きがとれなくなり、目指す腸管粘膜まで到達出来なくなります。最後は粘液の流れに乗って、そのままおしりから排出される次第となる訳です。

つまり、あらかじめ敵の先遣隊を捕らえ、その人相を味方に教え、数を増やし、武器の用意もおさおさ怠りなく、万端の準備を整えたところに現れた敵の主力を水際で殲滅する、という巧妙な作戦なのです。

ところが面白いことに、このような巧妙な腸管免疫の仕組みを逆手にとって体に悪さをする病原菌も存在します。その代表が、赤痢菌やサルモネラ菌、エルシニア菌などです。

それでは赤痢菌がどのように巧妙に病原性を発揮するのか、これもマンガでお示しいたします。

赤痢菌感染 本番.gif でも、このマンガ、相当重たそうです。お陰で動きは鈍いし、ブログ全体が重くなってしまいました。これを作ったアプリが見つからないので、めんどくさくなってこのまま・・・。すみませぬ、、、。

でも、赤痢菌の動きはナントカ分かるかな?

要するに、赤痢菌はわざわざM 細胞に取り込まれる事によって腸管粘膜に入り込み、マクロファージの消化も逃れ、そこから横方向に吸収上皮細胞に進入し、これを毒素で破壊する事によって、赤痢症状を引き起こすのです!

 

進化によって免疫系はここまで発達して来ましたが、敵もさるもの、盾と矛の関係で、向こうも進化し続ける様です。すなわち、進化に終わりはない、と言うことなのでしょうね。

 赤痢菌のマンガのお陰でこのページが重くなって書きづらくなって参りましたので、この続きはページを改めまして書いていこうと思います。

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 腸管免疫のお話 その四

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.kigen-technosakaki.jp/old/mt/mt-tb.cgi/31

この記事について

このページは、喜源テクノさかき研究室が2012年7月16日 10:23に書いた記事です。

ひとつ前の記事は「腸管免疫のお話 その三」です。

次の記事は「腸管免疫のお話 その五」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。