今月の書評-59
気持ちの良い春の日が続いておりますが、みなさま如何お過ごしですか?
センセは昨日は千曲川の河原に散歩に行ってまいりました。
現在、河原ではハリエンジュ(ニセアカシア)の花が満開で、良い香りを放っています。例によってヨシキリの連中がキリキリキリキリとやかましく鳴いていますが、肝心のヨシ(あるいはアシ)は芽吹き始めたばかり。カッコウも未だ里に降りてきていません。でも、鳴き始めるのももうじきだと思います。研究室の裏の電信柱のてっぺんでカッコウが鳴き始めると、いよいよ本格的な坂城の初夏の到来となります!
さて、先日、国立科学博物館の研究チームが、北海道礼文島の船泊(ふなどまり)遺跡から出土した今からおよそ3500 年くらい前の縄文人骨から得られた核DNA の詳細な分析に成功した!との発表がありました。そのうちまたNHK のサイエンスゼロで篠田教授が解説すると思います。
で、基本的には従来のmtDNA 分析やYDNA 分析結果を「より詳細に」裏打ちした、というカンジでした。
面白かったのは、従来から縄文人は酒が強くて顔にはシミが出来やすい、と言われてきましたが、今回もそれらを裏付ける結果となったようです。また、脂肪の代謝に関連する遺伝子に変異が生じており、その結果、高脂肪食に対応できたと考えられる、とのことです。つまり、アザラシやらトドやらの海獣の狩猟を生業としていた可能性が遺伝子分析から示唆できた、ということです。
一方で、現代の漢民族よりもウルチなどのツングース系民族、韓国人、台湾先住民であるアタヤル族(別名タイヤル族)やヤミ族などとより近い、という点も興味深いです。
出土したのが礼文島ですし、時代は縄文後期ということからウルチの血が混じっているのは不思議ではありませんが、台湾先住民との関連は意外でした。
「今月の書評-37」でご紹介した金沢大学の核DMA 分析による結果では縄文人と東南アジアの古代人骨との関連が指摘されていましたので、その文脈で考察可能かな?とも考えます。
一方、mtDNA からの結果では台湾先住民と縄文人との関連が見いだせないので、やはり縄文人、一筋縄ではいかない連中のようではあります。
韓国人との関連に関しては、縄文時代に縄文人が朝鮮半島に移り住んだ結果が反映されているのかも知れません。
赤味が強い方が船泊の縄文人に近い。 国立科学博物館より
http://www.kahaku.go.jp/procedure/press/pdf/150678.pdf
10年ほど前に唱えられていたマリタ人(MA1) との関連は低レベルであるのにも注意!
個人的には、船泊出土が東京に代表されてるのにちょと違和感がある・・・。
同、分析された縄文女性の復元模型 国立科学博物館より
http://www.kahaku.go.jp/procedure/press/pdf/150678.pdf
個人的には、もっともっとモンゴロイド的要素が少なかったと思ってる。
個人的には、スリランカのヴェッダ人あたりに、よっぽど似てたと思ってる。
個人的には、間寛平のお母さんかな?とも思ったりしてる・・・。
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