今月の書評-23
今からおよそ2万年くらい前にアイヌ人のご先祖様が大陸と繋がっていた樺太を南下して北海道に到達したという説は、ほとんど間違いのないものだと思います。
未だヒトの気配が少なかった2万年前の北海道ですが、津軽海峡の向こうには、すでに朝鮮半島から北上してきた旧石器人が住んでおりました。
この旧石器時代人が津軽海峡を渡って北海道に行き、アイヌのご先祖様と交わったかどうかは定かではありませんが、可能性としては十分考えられます(今月の書評-10)。
けれども、アイヌ人の主流は北方由来であることは、DNA 分析の結果からも明らかです。mtDNA のN9b を主体とした人々です。
その後、細石刃文化が北海道を席巻し、さらには列島を南下するに及んで、アイヌの人々の血もまた、在来の旧石器時代人と大いに交わったと思われます。この時から縄文時代を通して、N9b とM7a が縄文人のmtDNA を優越的に占めることとなりました。
そしてまたその当時、旧石器時代から縄文時代へと移る2万年前から1万年前の頃、北東アジアにおいて、これまでとは全く異なる新たなタイプの人々が現れました。いわゆる「モンゴロイド」タイプの特徴を有する人々です。
従来使われてきた白人~黒人~黄色人、あるいはコーカソイドとかモンゴロイドとかの言葉は、定義の守備範囲が漠然としすぎて使いづらいため、近年ではあまり用いられなくなりましたが、ざっと見レベルでは十分使用に耐えると思いますので、ここでは時々用いていきます。
このモンゴロイドタイプの人々、典型的には下図のような方々です。
朝青龍関:https://anaenta.com/asashoryu/
鶴竜関:https://mikano-kaiji.com/sport/sumou/1550/ ネットからの頂きものです。
このタイプの人々は現代日本人の間にもよく見受けられますが、2~1万年前の最後の氷河期の時期、アジア北東の内陸部において、強烈な寒冷~乾燥の淘汰圧を受けて生れ出た人々ではなかろうか、と考えられています。
低い鼻、脂肪分の多い一重のまぶたを有する細い目、平らな顔、乾燥した耳垢、ずんぐりむっくりとした体躯、薄い体毛などなど、これら全てが寒冷~乾燥の環境を生き抜くための適応の結果だと考えられています。
一方の、我らがご先祖様である縄文~アイヌ系の人々はというと、こういうカンジでした。
ネットからの頂きものです。http://tamenal.com/35674
上は普段着。下に晴れ着姿を張ります。
https://www47.atwiki.jp/wikirace/pages/15.html
やはり佇まい(たたずまい)によって、受ける印象も全く異なりますね!
衣装を変えれば、「マハラジャ」というカンジです。
これらのアイヌ人の写真は明治時代に撮られたものですから、この先述べるように、すでに何かと他種の血が多かれ少なかれ混交しているはずですが、それでも典型的なモンゴロイドとは全く異なる形質を有する人々であったことだけは確実なようです。
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