お焦げとガンについて-12

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日本と韓国の食の比較

前々回ではworldwide に大腸ガンと食肉消費量との大雑把な比較を行い、前回は北欧四カ国間の比較を行いました。
今回は引き続きまして、日本と韓国の比較検討を行ってみます。

前回~前々回にも申し上げましたが、この主題に関して人種や文化、経済状況が大きく異なる国々の間で比較を行う場合には主題に影響する要因が多すぎますので、例え明白な差が見られても、それを decisive であると結論するには強いためらいが生じます。従いまして、なるべく近い国や民族間で比較する方が意義深いだろうとの思惑から様々な関係を探りましたところ、日本と韓国との比較は非常に有意義であるとの結論に至りました。以下、その理由を述べてみます。

1. 人種的に極めて近縁
もちろん100% 同じではありませんが、他のどこの国にもまして、好むと好まざるとに関わらずwwww 、両者が遺伝子的に最も近い間柄であるのは間違いありません。

2. 文化的にも共通項が多い
これも多くの違いがあるにも関わらず、他のどこの国にもまして、好むと好まざるとに関わらずwwww (しつこい)、両者が文化的にも最も近い間柄であるのは間違いありません。

3. 経済的にも韓国は先進国の仲間 (取りあえずwwww ← ホントしつこい
国家としてのGDP の差は未だ極めて大きいものの、一人当たりのGDP で見れば、近年の韓国の追い上げには目を見張るものがあります。一人当たりのGDP と大腸ガン罹患率の間には、worldwide な視野をもって俯瞰的に見れば、非常に強い相関がありますので、一人当たりのGDP が比較的近い国家間でこの問題に関して比較検討を行う事は、大変有意義だと思います。

4. 国の規模~人口が一定の範囲に収まっている
具体的にどれだけの規模範囲であれば比較出来るのか、ホントの事は分かりませんが、前々回の世界マップで取り上げた国々の中には、「一応国家ではあるが、小さすぎ」て比較の対象から外した国々もあります。また、国では無いけど、特徴的な食生活を送っている少数の集団、例えばエスキモーやマサイ族、ニューギニア高地人などの人々も、考察の対象から外しました。彼らに関しては、このシリーズの最後に登場してもらうかも知れませんが、、、。
以前にも指摘しましたが、大腸ガン罹患率と言うイベントは、1,000 人のヒトが70~80 歳ぐらいまで生きて初めて5 人ぐらいのヒトが罹るか罹らないか、と言う類のものです。従いまして、この問題に対してしっかりとした根拠を得るために必要な母集団の規模を考えると、あまりにも小さな国のデータを大国のデータと比較する事は危険であると思います。
逆に、余りにも規模の大きな国家、例えばアメリカや中国、インドなどの場合は、前にも指摘しました様にバラツキが非常に大きく、少数の集団の数値が平均値に大きく影響する可能性があります。そもそもインドなどにおいては統計値そのものの信頼性に疑問がありますし、中国なども、未だに政府の介入による統計値の操作がしばしば指摘されるのが現状です。また、これらの大国においては、他国と比較した場合、少数者集団自体の規模が大きく、下手をすれば小国の規模に相当~凌駕する場合すらありますので、その意味から言っても、「国」として比較するには不適当な場合も考えられます。
これらの点を考慮に入れますと、日本と韓国は規模的にも程よく、それぞれの国の内部においてもバラツキは比較的少ないと思われますので、両者比較するのに適した集団であると考えます。


このように共通項が多いにも関わらず、両者間には特徴的な違いがいくつか見られます。今度のシリーズは大腸ガンと食との関連についてお話しておりますが、「似たもの同士の間に見られる違い」に焦点を当てて比較検討して行くと、相当決定的な水準にまで到達出来るかも知れません。



まず、両国の大腸ガン罹患率を比較します。例によって、女性の比較です。

日本と韓国 大腸ガン罹患率 2012年.jpg
韓国の方が顕著に高いのが分かります。と言うか、韓国はアジアで最も大腸ガン罹患率の高い国です。因みに、男性の結果も同じです。

次に、両国間の一人当たりのGDP を比較します。

日本と韓国の一人当たりGDP 2012年.jpg
韓国の近年の追い上げにも関わらず、未だ両者には2 倍程度の差があるようです。一人当たりのGDP について言及する理由は、所得の向上は食事の内容に直結するためです。
宗教的な問題は横に置いて、一般的に、懐が豊かになると肉を食い出す傾向がありますが、これが日本と韓国にも当てはまるのであれば、日本の方が韓国より食肉の消費量が多いはずですが、さて、、、。

と言う訳で、食肉消費量を比較してみます。

日本と韓国 年間食肉消費量 2007年.jpg
おっと!意外にも韓国の方が総合の食肉量も牛肉の消費量も多いです。両方同じグラフにまとめましたので、縦軸の数値の関係上、牛肉消費量の差が小さく見えますが、単独でグラフ化するとよりはっきりします。

さらに分析を進めてみます。食肉の内訳です。まずは日本から(2007年のデータ)。

日本の消費肉内訳.jpg
豚肉と鶏肉の割合が高いです。お次は韓国。

韓国の消費肉 内訳.jpg
鶏肉の消費量が少なく、豚肉の割合が半分以上です。牛肉の割合は日本と韓国で余り変わらない様ですが、韓国の場合は全体の消費量が多いので、牛肉消費量も当然増えます。

次に、統計結果に大きな影響を与える高齢者人口の割合を見てみます。65 歳以上の割合です(2010 年)。

日本と韓国 老齢人口の割合 2010年.jpg
日本の方が2 倍以上割合が高いです。従いまして、本来的には、日本の方が罹患率が高い方が自然です。


以下、その他の特徴を箇条書きして行きます(2007年のデータ)。

1. 韓国の方が肥満者の割合が高い
これは男女ともにそうです。特に女性の場合、20 ~30 歳台の肥満者の割合は日本人の2 倍近くにも上ります。いずれにせよ、韓国の肥満者の割合は男女ともに全ての年齢層で日本人より顕著に多いです。
結局、「韓流」って・・・・・。

2. 油の消費量は日本の方が多い
肥満者の割合は韓国の方が断然高い一方で、不思議なことに油の消費量は日本の方が多いです。てんぷらとか影響しているのでしょうかね?分かりませぬ。
さらに続けていきます。

3. 炭水化物の消費量は韓国が圧倒
と言う事は、韓国人は肉もご飯も日本人よりもよく食べる、と言う事です。

4. 乳製品の消費量は日本が圧倒
牛乳やヨーグルトなどの消費量は日本が圧倒しています。と言う事は、日本人の油の高い消費量の幾分かは牛乳由来なのでしょうか?よく分かりません。
でも面白いことに、カルシウム摂取総量は韓国の方が高めです。これはたぶん、乳製品以外のもの(海産物など)からの摂取が多いのでは?と思います。

5. 日本人は大豆製品が大好き!
食品の嗜好性(好み)で調べると、日本人は韓国人に比べて枝豆や豆腐、納豆類への好みがずいぶん強いことが分かりました。

6. 韓国人は牛肉が大好き!
これは当然予想される事ではありましたが、統計学的にも有意差をもって「牛肉好き!」だそうです。

7. トウガラシの消費量は韓国圧勝!!!
コメントするまでもありません、、、。



さて、相当に面白い結果だと思いませんか?
何かが見えてきたような気がしますが・・・・。どうでしょうか?

最後になりましたが、韓国沖の海難事故の被災者並びにご遺族の方々に心よりのお悔やみを申し上げます。




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このページは、喜源テクノさかき研究室が2014年4月25日 10:08に書いた記事です。

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