今月の書評-11
続きです。
小学校や中学校の段階で習うと思いますが、石器は打製石器と磨製石器に大別できます。石を打ち砕く方法で作られたものが打製石器、磨いて作るのが磨製石器ですね。
一般的に打製石器の方が原始的で磨製石器の方が進化した形と言えますが、非常に古い年代の磨製石器も発掘されますし、また、何を主として食べていたかによっても違ってきますので、そう単純ではありません。
けれども、石器の形から製造工程が分かり、そこから人類の文化的進化の過程をたどることができます。
人類最初の石器はオーストラロピテクスの時代に発明されました。今からおよそ330万年も前の頃です。
この当時の石器は単に握りこぶしくらいの大きさの石の片面を打ち砕き、鈍い「刃」を付けたものでした。
こんな感じです。↓
写真はウイキペディアからの頂きものです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A4%AB%E5%99%A8
それが段々と進化していきますと、さらに細かく打ち砕いてより鋭利な刃を付けるようになり、現代のナイフのような形にまで進化します。
こんな感じです。↓
写真はネットからの頂きものです。
http://www.ao-maibun.jp/tokubetu/2004-houkokukaikara/naihugata/naihugata.htm
握りこぶし大の石を打ち付けて刃を付ける
↓
より細かく砕いてナイフのような形にする
という流れは、自然な発想だと思います。当時にセンセが居たとしても、「こうすればいいんじゃね?」とか言って、ナイフ形石器を発明することは可能だと思います。
けれども旧石器時代も終わりごろになって、全く新らしい発想による石器が生じました。それが「細石刃」です。
細石刃(さいせきじん)石器とは、石ころを砕いて生じる破片を利用したもので、「発想の転換」と言っても過言ではない石器です。
旧石器時代に東京特許許可局(とうきょうとっきょきょきゃきょ、、、きょく)があったなら、これを発明したヒトはパテントをとって大儲け(マンモスの肉10年分とか!)できたかもしれません。
基本的に従来の石器は、目的にもよりますが、石ころの核そのものを利用するものでした。核をそいでそいで最終的に鋭利な形を作る、というのが基本です。その後、そぎ落とした破片をナイフやスクレーパーなどとして利用するようになりますが、細石刃はこれをさらに発展させ、細かく鋭利にそぎ落とした剥片を寄せ集め、動物の骨や木片にアスファルトなどで接着して、一つの非常に鋭利な槍やナイフを作ったのが、細石刃の技術でした。
こんな感じです。↓
ウイキペディアからの頂きもの。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%B0%E7%9F%B3%E5%99%A8
写真じゃ大きさが分かりませんが、だいたい一片の長辺が3 cm程度の小さなものです。以下のようにして使います。
この方法でしたら一つの石ころから非常に多くの刃が採取できますし、また、原石の質にもよりますが、例えば黒曜石のようなガラス質の石を用いた場合などは一つ一つの細片が極めて鋭利なものとなりますので、例えて言えば、現代のカミソリの替え刃のような発想です。
でも、上の絵から創造できますが、これを食らったら相当に「痛そう~・・」。
・・・マンモスさん、かわいそう・・・
で、前回も述べましたように、これを発明したヒトはおよそ2万年くらい前のシベリアでマンモスを追ってた方らしく、欧州系のヒトでした。マンモスを追っていたエジソンおじさんのようなヒトだったのかも知れません。
で、当時の旧石器時代人は部族を問わずこの優れた方法に魅了され、たちまち世界中(正確には大型動物の狩りを主体としていた人たち)に広まることとなりました。
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