疲労・休養・栄養・運動-19

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黙祷で思い出しましたが、今日は終戦記念日ですね。先の大戦の出来事の中には、「短期的効率の追求によって長期的成果の最大値が損なわれる」事のお手本がたくさんありそうです。航空機の防御面をおろそかにした結果、大戦前に猛訓練で育て上げた高い空戦技術を持った飛行士が消耗し、大戦後期には枯渇してしまった、等と言うのもこれが為です。ここら辺は言い出したらきりがないのですが、そもそもが朝鮮半島、台湾、千島列島、南樺太、マリアナ群島などの広大な地域に行政権を保持していた日本ですが、いったい何故にさらなる欲をかいて、あげくは全てを失う状況と成ったのでしょうか?「近視眼的」と言う言葉に全ては凝縮されそうです。

余談となりますが、大戦中のゼロ戦の撃墜王、坂井三郎の空戦誌の中で、面白い記述があります。

戦闘機のパイロットは高い空戦技術を維持する為に食事の内容も陸戦の兵士よりも栄養価の高いものであったそうですが、下から見上げている糧秣担当の将校の目からは、単に空でくるくるまわって楽しげに見えるそうで、これはけしからん、空戦担当も陸兵と同じ食事だ!とか言い出したそうです。頭に来た三郎は、この将校を飛行機の隣に乗せ、空中戦さながらの曲技を行ったそうです。その結果、将校は地上に降り立ったときはグロッキーで、もちろん食事内容の変更は無かったと言う事です。

このお話の面白いところは、猛訓練で高い技術を身につけたヒト達がその技術を維持して行くにはそれ相応の待遇なり休暇なりが必要で、それなしではせっかくの技術が生かされない、と言う事です。

さて、先に述べたベルトコンベアーのモデルは極めて単純で、実社会ではもっと複雑な状況に皆が身もだえている訳ですが、本質論は変わりません。先のお話の中でずば抜けた成果をあげたヒトは、生産システムの技術革新をもたらしたヒトでした。この様な「質の変化を生み出すヒト」に就いて考えてみます。

どのような社会に於いても「涼しい顔して成果をあげるヒト」が居ります。この場合、「涼しい顔」しているのか、或いは他の人たちにとって「涼しい顔に見える」のか、それは問いません。イチローとか白鳳とか、分かりやすい例かと思います。両者とも、残業して成績を上げるけれども、その後に体を壊して引退する、と言うカンジではありませんし、飯をたらふく食った勢いで仕事をやっつけるタイプにも見えません。けれども間違いなく、自己鍛錬には厳しいモノがあると思いますし、何と言っても自分のプロフェッシヨンに対して無駄な肉が無く、最適解を体現している体つきです。自分の技を磨くと同時に、自分の持ち味に対して最適な体つきを維持する為に努力を怠らない、と言うカンジですね!運動選手の選手生命は一般の人たちと比べて短い訳ですが、その中でも両者は長期にわたってトップの座を維持しておりますから、ケガの少ない体作り、と言う事にも気を配っている事かと思います。つまり、選手生命という時間軸で見る限りに於いて、両者は短期的成果がずば抜けているに加え、その様なずば抜けた期間が長く維持される訳ですから、両者を乗じた値としての「生涯成果の最大値」はずば抜けて高い値と成らざるを得ません。この両者をもう少し分析する事によって、疲労シリーズの結論が出てくるかと思います。

まず、欠場が少ない、ケガが少ないと言う事から、日々の健康管理には最大限注意を払っているのが明らかです。結果、長期に亘って安定的な結果を残すことが出来ると同時に、引退後に残された時間を有意義に満喫する事も可能と成ります。次に、自らの長所、利点、持ち味と言うものを理解し、これを最大限に生かそうと言う頭の良さを感じます。結果、イチローの場合でしたら「長打力」にこだわって無駄な筋肉をつけて自滅する、と言うパターンには陥りませんし、白鳳でしたら体の柔軟性を生かしたスピード感のある取り口に磨きを掛ける、と言う事になる訳です。これには頭の良さに加えて、自己確信を維持するだけの心の強さも必要と成ります。これだけ結果を残せて初めて他人から評価される訳ですが、結果が残る前に迷わずに自分のスタイルを追求すると言う事は、これは心の弱いヒトにはナカナカ出来ない事です。特に日本人は自分の持ち味を殺してでも他人に合わせる傾向が強いので、その点からもイチローの個性の強さが際だちます。両者共に自分の技術の維持、向上に時間を掛ける事にはどん欲でしょうし、何と言ってもこの道を究める、と言う強い意志があります。その意志を貫くのに必要なものは「情熱」でしょうし、この情熱を維持するのに必要なものは、何と言っても、それが、その人にとって、「凄く面白いから!」と言う事に尽きるかと思います。

段々結論に近づいて参りました。次回で最終と致します。その前に、庭に水まきをして参ります。ナンか、TVでは、「長野に竜巻注意報!」とか甲子園の画面に出てますし、雷もゴロゴロ鳴っているのですが、雨が降ってくる気配は有りませぬ、、、。ゴロゴロ鳴ってて怖いですけど、ちょいと散水して来ます。

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このページは、喜源テクノさかき研究室が2013年8月15日 14:04に書いた記事です。

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