セルメンことセルジオ・メンデス氏が亡くなられました。享年 83 歳。
今の若い方々では知らないヒトの方が多いのでしょうが、
多くのニュース番組でも報道されていましたし、
たぶん、いくつかの曲を聴けば、
「あ~この曲のヒトか~」とか思うことでしょう。
センセは顧問に退いても毎日研究所に詰め、
午前中は論文書きを、午後は庭仕事をしておりますが、
午前のデスク仕事では常に BGM としてボサノバを流しております。
その中には、セルメン氏の曲も混じってます。
セルジオ・メンデスをセルメンとか言う世代にはまことに馴染みの顔ですが、
センセの過去ログでも紹介しております。ご一読くだされ。
ボサノバと言えば、アストラッド・ジルベルト氏も昨年亡くなったばかりです。
彼女に関するトリビュートも書いてますので、ご同様に、ご一読ください。
あと、松岡正剛氏も先月亡くなられました。
彼に関してもコメントしておりますので、覗いてみて下され。
全員纏めて、ここに合掌いたします・・・。
さて、過去ログの「今月の書評」シリーズでお話してきた倭人のルーツですが、
そもそもの発端が数冊の「日本人はどこから来たのか?」的な本でありました。
その中の一つが、崎谷満氏が書いた「DNA でたどる日本人10万年の旅」でした。
で、この本の中で、
氏は長江文明と水田稲作と YDNA の O1b2 系統※を結び付け、
さらに考古学的証拠を加味して、
倭人のルーツを江南~山東半島~朝鮮半島~北九州と唱えました。
※この本が書かれた 2007 年時では O2b に分類されていました。
で、九州大学の先生たちによる考古学的研究においても
稲作の伝播経路として上記のルートを支持しておりますので、
センセの過去ログでも水田稲作と O1b2 と東夷の連中を結び付けて
お話してきました。
ただし、
センセの説と崎谷氏の説と九大の説とはちょいと違うのですけど・・・。
ところが新羅のハナシをしようと思って今一度色々見直ししている中で
ウイキの O1b2 の項を覗いてみた。
ナンか、以前と違っているような気がするし、変だなあ~と思っていたら、
書き手の間で色々トラブルがあったらしい・・・。
で、最近、再び書き直されていて、前よりはスッキリした形になっている。
で、それは良いとしても、
前述の崎谷氏の O1b2 江南説が否定されている!
で、オーストロアジア系の O1b1 と O1b2 との分岐が約 3 万年前となっている!
で、江南を含む中国全体から O1b2 がほとんど見つからないことから
O1b2 は朝鮮半島近辺から生まれた、と書いてある!
大いに混乱する!!!
遺伝子関連の研究は新幹線なみに急速なものではあるし、
考古学もまた新たな遺跡が出てくると
これまでの結果が根底からひっくり返るのはおなじみの現象なので
これらの分岐年代などは正しいのではあろうが、
そうなると、
仮に九大が推定する稲作伝播経路が正しいとするならば、
長江下流域~山東半島~遼東半島経路で稲作を伝えた連中は
少なくとも O1b2 ではない、ということを意味する。
大いに混乱する!!!
O1b2 は、日本人、韓国人ともにおよそ 30% くらいを占める一方で、
ツングース系の C2 は韓国が日本を大きく上回る。
だとすると、ことによると、半島の基層はむしろ O1b2 であり、
C2 はより新しい時代に北方から移住してきた連中か?
とも想像できる。
日本人の間では、 C2 と共に N もまた非常に少ない。
韓国における C2 は日本人よりかは多いが、
O2 、O1b2 に続いて三番目くらいの頻度だ。
現代中国人の間で
O1b2 がほとんど見つからない = 発祥の地ではない、
という仮定は正しいのか?
漢族によって大陸から完全に駆逐された可能性はないのだろうか?
確かに最も近縁な O1b1 を中心とする人々の中に
O1b2 がほとんど見られない事実は O1b2 ≠ 江南説に説得力を与える。
O1b1 の分布と水田稲作の南への伝播経路はきれいな一致を示しているので、
O1b1 が水田稲作に強く関与する人々であることは間違いない。
ベトナムで O1b2 が数%認められるが、
これは、ベトナム戦争時の例の韓国軍のご乱行によるものかと・・・。
ホントか WWW???
九大チームの一人である中橋孝博氏は江蘇省出土の古代人人骨を調べ、
これの形質が弥生人とそっくりであるのみならず、
mtDNA のハプロタイプがほぼ同一であったと著作で書いているが、
YDNA に関しては調べることができなかったのであろうか?
江蘇省~山東半島あたりからのこの時代の人骨が出土し、
YDNA の型式が決定されれば、
この問題は決定的な形で解決する、と思うが・・・。
いずれにしましてもセンセは結構混乱しておりますので、
九大チームのリーダーである宮本和夫氏の著作を購入し、読み下してから、
もう少しこの問題について考えてみたいと思います。
宮本氏の論文などはいくつか読んでみたのですが、
英語で書かれているので、
中国の地名~文化名などが既知のもののどれに該当するのか、
直感的に理解できませぬ・・・。
やはり、漢字とカナ文字で表す日本語の表記法は大変便利だと思います。
日本人にとっては、のハナシですが・・・。
で、宮本氏の著作、およそ¥1 万円もするのですけど・・・。
ブログもナントか今世紀中に終わらせたいので、
上記問題は一旦棚上げとしてハナシを進める可能性も、もちろん、
「ありま~~~す!」
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