で、ウラル山脈周辺の連中です。
「今月のウクライナ-175」の地図を参照しつつ、目を通して下され。
ネネツ
ヤマロ・ネネツ自治管区 ウイキより
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=39714414による
ネネツの家族 ウイキより
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=623030
YDNA N が 97%。世界で N 系統が最も高頻度に見られる民族。
いわゆるサモエード。
現在ではサーミ人と呼ばれるラップ人は、ここから派生したと考えられる。
隣接するエネツ人、ガナサン人は同系。
言語はサモエード語(ウラル諸語に属する)。
隣接するもう一つの民族にセリクプ人がおり、
彼らは言語的にはサモエード系であるが、
YDNA 的には Q に属するので、彼らに関しては Q のところで紹介します。
狩猟、漁労、トナカイの遊牧で生計を立てる。
犬ぞりのサモエード犬が有名。
N が 97% ということと上記の家族写真から、
古代遼河流域に住んでいた N はそもそも東アジア系の顔立ちであったのは確実。
上記家族写真にはわずかにロシアの血が見られる気もします。
血のつながる家族であるのは間違いない WWW。
ガナサン人
ガナサンの家族 ウイキより
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=22564126による
N が 92%。
ウラル語族サモエード語派に属すガナサン語を話す。
写真は結構インパクトあるかと・・・。
ハンティ人
ハンティの老人 ウイキより
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1819761による
ハンティの家族 ウイキより
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=25214666による
N は 76.6%。
マンシ人とはもともと同族。マジャール人とも近い。
言語はオビ・ウゴル諸語に分類され、マジャール語に近い。
モンゴル帝国の頃は西シベリア汗国に服属していた。
写真を見る限りロシア系と相当混交しているように見えるが、
N が 8 割も占めることから、
父系による部族としての地位は安泰であったようだ。
狩猟・漁猟・トナカイ飼育が基本のなりわい。
マンシ人
マンシの家族 ウイキより
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=22145712による
前掲のハンティの右端のおばさんの親類か?
N は高~中頻度。
もとはハンティと同族のオビ・ウゴル諸語に属する。
コミ人
コミ人の女性たち ウイキより
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=3368923による
N が 35.1%、R1a が 33.0%、R1b が 16.0%。
別の調査では N が 61.2%、R1a が 32.7%。
写真を見る限り、やはり冷涼~湿潤~日照不足が揃うと
欧州系の形質が生存に有利となるのだろうか?
言語的にはウラル語族のフィン・ウゴル系に属する。
近隣のウドムルト人、マリ人、モルドヴィン人※(モクシャ、エルジャ)
などと近い。
※モルドヴィアとモルドバは違うので、注意!
モルドヴィン人
モルドヴィンの女性たち ウイキより
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=6186833による
N は 19.3%。
フィン・ウゴル語派のモルドヴィン諸語に属する。
近傍のコミ人、ウドムルト人、マリ人、モクシャ~エルジャ人などは
みな近い関係。
現在では多くがロシア人と混交し、
言語もロシア語しか話さないヒトも多いとのこと。
6 世紀に東ゴートに征服されたのち、その後はルーシのスラヴ人たちと戦い、
さらにはモンゴルに征服された。
ロシア帝国下ではロシア化が進んだが、言語と民族性を維持し続け、
ソビエト連邦下ではモルドヴィア自治共和国を立てた。
以上、ウラル山脈を中心とした N 系の連中をご紹介しました。
次回は引き続き簡単に Q を紹介後、シベリアを東進していきます。
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