今月のウクライナ-86

みなさま、明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い申し上げます。

昨年の 12 月には列島各地に寒波が押し寄せて
ひどく寒い年末を過ごしましたが、
お正月の三が日は雲一つない快晴が広がり、
少なくとも太平洋側では、穏やかで暖かいお正月となりました。

センセは元旦は埼玉の姉の家で過ごすのが恒例ですが、
身内も一人去り二人去り、
年を追うごとに寂しくなっていくのはヒトの常とはいえ、
新たに病に伏す兄弟姉妹もおり、
自らの行方について考える機会が増えるのもこの頃です。

で、早くも二日には帰って来ましたが、
お昼にお雑煮を作って食べてる最中に気が付いた・・・。

!!! 姉の家に入れ歯を忘れてきた !!!

・・・ま、センセの入れ歯は一本だけですので実用とは程遠く、
たいして大騒ぎするほどのことではありませんが、
その昔に年寄りが入れ歯をし忘れたままレストランに入ったとかナントか、
そんな話を聞いて
爆笑していたのが爆笑される立場になってしまったのが何とも言えず・・・。

で、気づいた時点で早速電話して送ってもらうように伝えましたが、
電話の先で先方の家族が大笑いしているのは良いとして、
自分のものでしたらいざ知らず、
ヒトの入れ歯を封筒に入れて送る際のせつなさ、やるせなさというか、
それを考えると、
申し訳ない気持ちでいっぱいになるのも人の情ではありませう・・・。


さて、ウクライナですが、
「厳冬期になったら戦車戦を含む大攻勢がある」との予想がありましたが、
そんなそぶりは微塵もなく、
両者デッドロックに陥っているのが現状です。
東部のバフムトではウクライナが苦戦しているとの情報も、
あるいはロシアが苦戦しているとの情報もある一方で、
ハイマースの攻撃で新兵を含む 100 名近くのロシア兵が一気に吹き飛ばされた、
との新しい情報もあり、どちらが優位なのか、皆目分かりません。
ロシアからのロケットやドローンによるインフラ攻撃は相変わらずですし、
ロシア経済が疲弊しつつあるとの情報もある一方で
抜け穴だらけでピンピンしているとの情報もあり、
これまた確実ではありません。

幸いなことに、欧州のこの冬は例年になく温暖で、
アルプスのスキー場の多くが営業できない状況にあるとのこと。
まだ冬は長いですが、
このまま暖冬が続いてくれればロシア産ガスへの依存度も減り、
電気や暖房が制限された中で暮らしているウクライナの人々にとっても、
少しでも生活の辛さが和らいでくれれば・・・と思います。

それにしても来年もまたこの調子で戦争が継続するとなると
すでにダメージを受けている世界経済への影響もまた継続する訳ですから、
さすがにどこかの時点で停戦交渉への圧力が増してくることは確かです。

で、
ロシアが戦術核を含む核兵器を使わなければ NATO は介入しないでしょうし、
また、その場合はアメリカも射程の長い兵器の提供はしないでしょうから、
第一次世界大戦ばりの陣取り合戦となる可能性があります。

特に東部では!

そうなりますと、ウクライナが東に戦線を拡大すればするほど
これまで弱点とされてきたロシアの兵站線は短くなりますので、
ロシア有利となり、
どこかの時点でウクライナは抜くことができないラインに至ると思います。

たぶん、この時点においてもウクライナの世論、
ならびにゼレンスキー大統領は戦争の継続を主張すると思いますが、
この時点においては西側世界から停戦交渉への発言が相次ぐのでは?
と考えてます。

で、結局、「今月のウクライナ-10」で指摘したように、
現実問題として、
ウクライナは、ある程度、東部地域、あるいはクリミアを、
放棄せざるを得ない形にならざるを得ない、と考えます。

良い悪い、の問題じゃないです。
現実問題~物理的問題としてそうとしか考えられない、ということです。

放棄した東部諸地域~クリミアは、
ロシア側に言わせれば「ロシアに帰属する」ということでしょうが、
もちろん国際的には承認されません。
同時に、ウクライナは、残念ながら、NATO に加わることもできないでしょう。

しかしながら、「今月のウクライナ-10」で指摘したように、
将来的には、あるいは少なくともプーチンが居る限りは、
ロシアはもはや「イランや北朝鮮に毛が生えただけの国家
となるのが宿命づけられているわけですから、
ウクライナは胸を張って「我らは勝利した!」と宣言して可、だと思います。

国際連合は今後さらに混迷の度を深めるのか、あるいは、
これに代わる新たな組織づくりへの言及が生じるのか、あるいは、
取り合えずプーチン政権が倒れたあとのロシアがどうなるのか、
それを看取ったうえで動き出すのか、
見どころ聴きどころ満載の、今後の国際情勢です。