今月のウクライナ-32

個人的な感覚ですが、プーチン、東部確定で手を打つような気がします・・・。
ホントのところはもちろん分かりませんが・・・。


さて、遊牧生活にも慣れ、スポーク付きの馬車も発明した原印欧語族ですが、
その第一波が東と南に向けて移動を開始します。
大体、紀元前 3000 ~ 2000 年くらい前の頃です。
東に向けて旅立った連中は現在のタリム盆地辺りを拠点とし、
たぶん、もっと東に向けて拡散していった可能性もあります。
南に行った連中は、
急峻なコーカサス山脈を横切ったのか船で黒海を渡ったのかは不明ですが、
アナトリア地域にたどり着き、定着します。

前者がトカラ人で、後の中国史に登場する月氏(げっし)国を作り上げます。
後者は、その後にアナトリアの地に、
強力な軍事国家、ヒッタイト帝国を作り上げます。

トカラとヒッタイト.jpg原印欧語族の拡散第一波:スポーク付き馬車の発明により可能となりました。
でも、馬車はコーカサス山脈を越えられたのでしょうか?
ヒッタイトは移住した当初はそもそも馬車を持っていなかったが、
移住先で車を知り、これを改良して馬に引かせ、馬車とした、
という説もあります。


今月の書評-55」で楼蘭の美女を紹介しましたが、
彼女がまさにトカラのヒトです。も一度載せときます。

楼蘭の美女.jpg乾燥したタクラマカン砂漠の気候のおかげで、
生前の面影をそのままに留めたまま、ミイラとなりました。
トカラの人たちは黒海~カスピ海北岸からはるばる東進してきました。
中央アジアにもトカラ居たのではありませぬ・・・。     ウイキより


月氏と言う名前に関して、相当に興味深い説があります。

中国の史書で登場するこの言葉は、中央アジアのとある民族を指す言葉です。
で、大月氏とか小月氏とかいろいろ書かれてますが、
大とか小はいくつかあった月氏を区別するための言葉です。
で、その民族を表す言葉は「月」そのもので、
これは当然音読みでは「げつ」あるいは「がつ」、
訓読みでは「つき」と読みます。
「げつ」と「つき」、全然違いますよね!

ところが、近年の言語学的研究から、古代中国においては、
「月」は「tokwar」と発音されていた可能性が指摘されてます。
tokwar ~ tokar ~ トカラ!!!
さらに、tokar ~ tuku ~ つき!!!!!

このブログで度々紹介しております言語学者の金平譲司氏も
ご自身のブログの中で度々
「日本語そのものだと思われていた訓読みの言葉の中には
古代中国語に由来するものが数多くある」
事を指摘されてます。

全く驚かされます!


さて、「今月の書評-55」の中で 1 点、誤解を招く記述がありますので、
以下、書き直します。

誤解を招く記述 →
因みに、騎乗馬の習慣はモンゴルで生まれました(wikiより)。」
書き直し → 「現在のモンゴルで出土した遺跡から、
騎乗馬の習慣はこの地まで進出していた印欧語族によって発明され、
ここから逆に西に向けて拡散していったのでは?と言う説があります。」

「今月の書評-55」の中では「今月の書評-41」がリンクされてますが、
その中でも 1 点、間違いがありますので、この場で訂正いたします。

誤りの記述 → 「クルガンと呼ばれる騎馬民族集団」
訂正 →「クルガンと呼ばれる墳墓形式を伴う騎馬民族集団」

その他、過去ログではいくつか単純ミスなどもありますが、
ほっかむり~知らんぷりして続けていきます!

「ヒッタイト」と言う言葉は、
そもそもこの地に移住した原印欧語族を表す言葉ではなかったようですが、
いつのまにやら彼らの名前として認知されてしまったようです。

アナトリアに移住した初期のヒッタイト人は
この地にあったセム系の連中の王国に傭兵として雇われていましたが、
馬を扱うことに長けていたためか、たちまち頭角を現し、
ヒッタイト帝国という強力な国家を立ち上げることに成功します。

ヒッタイト帝国最大版図.jpgヒッタイトの最大版図:紀元前 1300 年くらい前です。 ウイキより


その後、すぐ東にあったミタンニ王国と戦争に入ります。
このミタンニ王国はフリル人と呼ばれる系統不明の民族の国でしたが、
連中も印欧語族系の傭兵を雇っておりました。
彼らに関しては次回にお話する予定です。

で、ヒッタイトの連中は鉄製の武器と二頭立ての戦車を駆使し、
アナトリア全域を支配下に置き、さらにはエジプトにも侵攻するなど、
アッシリア帝国誕生前の中東の覇者となりました。

ヒッタイトの戦車.jpgこれはエジプトのレリーフに描かれたヒッタイトの戦車です。 ウイキより
二頭立ての二輪戦車に三人乗り、と言うのが良く分かります。
牡馬(おすうま)であることが明瞭ですね WWW !
しかも去勢もされていないようです。

去勢していない牡馬の二頭立て!
相当に御し難かった(ぎょしがたかった)のでは?