さて、就任式まで残りもわずかとなったドナルドですが、
まだ大統領でもないのに早くもゴチャゴチャ言い出した・・・。
いわく、
「カナダはアメリカの 51 番目の州だ!」
いわく、
「グリーンランドはアメリカの領土であるべきだ!」
いわく、
「パナマ運河はアメリカに返せ!」
さらにいわく、
「メキシコ湾はアメリカ湾と名前を変えろ!」・・・・・・。
で、これまでで一番の目玉政策と言おうか単なる大風呂敷と言おうか、の、
「就任式から 24 時間以内にウクライナ戦争は停止させる!」に関しては、
早くも撤回しつつある模様・・・。
プーチン氏はトランプ案に納得できず、交渉のテーブルに着かない模様・・・。
ということは、
今またゴチャゴチャ言ってることも全て実現しない可能性が高い。
一応、中国の影響力を削ぐためであるとか言ってるが、
少なくともカナダとメキシコ湾に関しては中国は関係ないかと・・・。
結局は周りから色々教えてもらった情報に基づいて、
余り考えもせず、
自分の気の向くまま感情を発露しているだけであろう、と、
センセは思ってます。
メキシコの女性大統領、
トランプ案を茶化して 17 世紀のアメリカの地図を持ち出し、
「北米大陸の名前はメキシカン・アメリカと変えたらどうか?」
とやり返した WWW。
ナカナカですね!
メキシコの女性大統領、クラウディア・シェインバウム氏
ロイターのビデオ画像のキャプチャーです。
名前から、ラテン系ではなさそうですね。
調べてみたらナカナカのヒトで、
加えて祖父母は東欧からのユダヤ系移民とのことです。
アシュケナージ、ということですね。
政治的信条もドナルドとは真逆です。
「メキシコ湾はアメリカ湾と名前を変えろ!」を聞くと
どこぞの K 国の
「日本海は東海と名前を変えろ!」を思い出しますが、
やっぱし両者はレベルが同じなんですね WWWWWWWWW。
さて、パナマ運河は、当初、
スエズ運河で有名なフランスのレセップスが手がけましたが、
マラリアや黄熱病など、猖獗を極める現地の風土病に労働者は苦しめられ、
また、スエズ運河と同じ水平式に固執したため、結局失敗。
その後はアメリカが乗り出して黄熱病を克服し、
運河の工法も水平式から閘門式(こうもんしき)に変えたことで成功し、
1914 年、第一次世界大戦の開戦直後に開通に漕ぎつけました。
第一次世界大戦とは帝国主義列強の総決算みたいな戦争でしたので、
大戦前のアメリカによるパナマ運河開通の経緯もまた帝国主義そのもの!
当時のパナマ地方はコロンビア自治領みたいな地位にありましたが、
ここに運河を掘ることの地政学的重要性は明白でしたので、
時の大統領、セオドア・ルーズベルトはコロンビア大統領と交渉し、
一旦は大統領の許可を取り付けた。
けれども議会が承認しなかったので、
ルーズベルトはパナマ地方の独立運動派を焚きつけ、
コロンビアから独立させてパナマ共和国が誕生した。
そこに巨額のアメリカ資本をつぎ込んで見事に完成させた、という経緯です。
まあ、日本の満州とか、この頃はこういうことが当たり前だったのですね。
で、満鉄と同じく、
運河ならびにその周辺はアメリカの統治下に置かれる状況が長く続きましたが、
1964 年には学生を中心とした大規模な運動が勃発し、
多くの死者もでました。
このような状況を憂慮し、
運河ならびに関連施設すべてをパナマ政府に返還することを約束したのが
先日亡くなられたジミー・カーター大統領で、
最終的に、1999 年 12 月 31 日に全面的に返還される運びとなりました。
その間、ノルエガ将軍によるゴタゴタなどがあり、
アメリカ軍がパナマに攻め込む場面も見られましたが、
それも収まって、現在に至る、という状況です。
パナマ運河のガトウン閘門(こうもん)
字を間違えないように! ウイキより
Stan Shebs,https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=51275による
グリーンランドに関しては、
皆様よくご承知の通り国土の大部分が氷床に覆われ、
居住可能な地域は南の海岸部に限られる国です。
全人口もわずか 6 万人弱。
住民の大部分はカラーリットと呼ばれるグリーンランド・エスキモーの人々で、
デンマーク人は人口の 1 割程度に過ぎません。
最古の住民はシベリアから渡った古エスキモー人、と考えられています。
その後は北米インディアン系の連中が移住してきた時代もありましたが、
10 世紀頃にはヴァイキングの連中がアイスランドを経て移住してきます。
ヴァイキングに関しては、
「彼らは農業に固執したために上手くいかず、
結局は極北の狩猟に特化したエスキモー人に駆逐されてしまった」、
と言うハナシをどこかの本で読んだ記憶があるのですが、忘れた・・・。
18 世紀になってデンマーク人の入植が始まり、
第一次世界大戦終了時にはほぼ全島がデンマークの支配下に置かれましたが、
1953 年には自治権を獲得し、
1979 年、最終的にデンマーク自治領となりました。以上、ウイキより。
典型的なグリーンランドの風景 ウイキより
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Greenland_scenery.jpg
で、先に述べたように圧倒的多数の住民がカラーリット・エスキモーで、
公用語もグリーンランド語と呼ばれるエスキモー・アレウト語の一種。
政治的には結構独立志向が強いようで、
2008 年に行われた国民投票では投票者の 7 割が独立を支持しました。
しかしながら漁業以外にめぼしい産業のない国ですので
実際にはデンマークからの補助金で食いつないでいるのが現状です。
アメリカはトランプ以前にもグリーンランド購入を持ち掛けた経緯があり、
第二次世界大戦直後の 1946 年には、早くも、
あの原爆投下の許可を下したトルーマン大統領が
デンマークに購入の件を打診しています。
トランプ自身も、彼の第一次政権時にちょっかいを出して袖にされています。
で、個人的意見ではありますが、先の四つの「いわく」のうちで言うならば、
このグリーンランド購入の可能性が最も高いのではなかろうか?
と考えてます。
もちろん基本的には実現の可能性は全て低いと思いますが、
敢えて言うならば、四つの中では可能性が最も高い、ということです。
と言うのは、
先に述べたように住民の大部分はデンマーク人ではなく、
同時に独立志向も高く、
さらにはこれまで漁業しか取り立てて言うべき産業もなかったこの国において、
近年、大きな変化が生じているためです。
一つは、気候変動による温暖化のために北極の氷が溶け、
これによってこれまで氷で閉ざされていた漁場へのアクセスが可能となり、
漁獲高が増大し、デンマークへの依存度が減少しつつある点です。
また一つは、
以前からグリーンランドは、
石油、天然ガス、ウランなどの鉱物資源が豊かであると言われてきましたが、
最近ではこれらに加えて
ネオジム、プラセウジム、テルビウム、ジスプロシウムの
四つの希少鉱物の存在が指摘されています。
で、やはり温暖化のために
地下に眠っていたこれらの鉱物資源への接近が現実味を帯びてきたのです。
グリーンランド政府はこの資源を有効に利用したいと考え、
漁業と同じく、これによって獲得した資金を用いて独立を果たしたい、
との気持ちが強いようです。
要するに、デンマーク政府としては
トランプの提案は歯牙にもかけない態度で臨むでしょうが、
肝心のグリーンランド政府、あるいはグリーンランド人としては、
トランプの提案は必ずしも問題外とは言えない、
あるいはむしろ願ったり叶ったりの可能性も十分に考えられるのです。
アメリカとしては、恐らく、
中国が北極圏への影響力を獲得する手段としてグリーンランドに目をつけ、
交渉に入る前に手を打ちたい、
と考えているはずです。
パナマ運河に関しても「中国の影響を排除するため」
との大義名分を掲げるのでしょうが、
可能性としてはグリーンランドの方が高いとセンセが考えるのは、
以上の観点から、
当のグリーンランド自身が、
強いビジネスパートナー、
並びに、
身を守ってくれる強いパトロンを必要としている、
と考えられるためです。
本日はこれまで!
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