ニヴフ=ギリヤーク
ニブフの親子 ウイキより
新光社編「世界地理風俗大系. 別巻〔第3〕」1931年発行
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1876894、
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=98462998による
親子であるのは大変よく分かります。
遺伝子情報としては、ある調査における YDNA パターンは
C2 が 38.1%、O が 28.6%、P が 19.0%、R1a が 9.5%、その他が 4.8%。
別の調査では、C2 が 71%、O2 が 7.7%、O1a が 3.8%、O1b が 1.9%、
N が 1.9%、Q が 7.7%、D が 5.8%。
二つの調査で結構大きな差がある。
どちらが真相に近いのかは分からない。
R1 はロシア人との混交の結果。
D はアイヌ人との混交の結果。
O2 は中国人との混交の結果。
Q はケット~インディアンの流れ。
P は Q と一緒にここまで来た連中かと・・・。
mtDNA がむしろ特徴的であり、G と Y、特に Y が過半を占める。
以下の図を参照。
シベリア少数民族の mtDNA ハプロタイプ ウイキより
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:
Map_of_Siberia_-_basic_mtDNA_haplogroup_composition.png
樺太の NIV と示されているのがニブフ。
他のシベリア少数民族のパターンと大いに異なる。
過去ログ「今月の書評-24」で載せたオホーツク人の mtDNA パターンと
よく似てます。
このパターンからも、オホーツク人=ニブフ、と考えられます。
過去ログの mtDNA パターンからは
オホーツク人とアイヌ人との混交も認められます。
ニヴフの言語はウリチやウィルタ(オロッコ)など、
周辺のツングース系諸語とは全く異なり、
むしろ北米インディアンの言語に似ているとの指摘もある。
日本語同様、孤立言語である。
古シベリア諸語(パレオ・アジア語)の一つとして扱われることもあるが、
便宜的であり、仮説の域を出ない。
樺太ニブフの言葉と大陸の黒竜江流域のニブフ語では大きく異なり、
別言語とされることもあるとのこと。以上、ウイキより。
ニブフは、一昔前はギリヤークと呼ばれていた連中です。
YDNA では C2 が優勢ですが、他のタイプも多く混じているようです。
アイヌ人の D が混じるのは地理的~歴史的にも理解されます。
むしろ mtDNA が特徴的で、周辺の連中と大きく異なります。
言語的にも孤立化しており、不思議な民族と言えます。
同じ流れで日本人も相当に不思議なのですが・・・。
以上、センセの偏見による。
ユカギールなどと同じく
北東アジアにおける古参民族の一つと考えられているようで、
ツングース系民族の拡張によって隅に追いやられた、
との説もあるようだ。
アイヌやオロッコ(ウイルタ)など、
他の樺太先住民と共に山丹交易に参加していたようで、
間宮林蔵をベレンまで案内したのはニブフの酋長であった。
ニブフの夫婦とアイヌのオトコ ウイキより
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=11087602による
手前がニブフの夫婦で後ろで佇んでいるのがアイヌのオトコらしい。
ニブフの旦那の描き様がちょと酷いのではないのか?
いくらなんでも・・・。
奥さんが不憫でならない・・・。
樺太北東岸に住むウイルタがトナカイに執着するのと異なり、
ニブフは漁猟を専らとし、狩猟は副次的で、
トナカイの飼育は殆ど行われない。
サケ・マスの干し肉を主食とするだけでなく、
衣服などもサケ・マスの魚皮で作るとのこと。
サケ・マスの肉を干すニブフ ウイキより
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=8784864による
自信の伝承によれば、人間は昔は動物であり、
アイヌはクマ、オロッコはトナカイ、そして自分たちは犬であった、
とのこと。以上、ウイキによる。
だもんで、犬を大切にするが、食べたりもする。よくあるハナシ。
アイヌと同じようなクマ祭り(アイヌ語でイヨマンテ)を行うが、
上記伝承を見る限り、アイヌから伝わったのかもしれない。
アイヌのクマ祭り自体が、
東北の縄文人から伝わったイノシシ祭りに由来する、
という説もある。
人口減少に悩んでいた縄文人は多産のイノシシに魅了されていたようだ。
東韃紀行にも書かれているが、
ニブフは女尊男卑の世界であり、
よっぽどのことが無い限り女性は罰せられない、とのことで、
千鶴子センセも大喜び!以上、センセの偏見による。
さて、シベリア少数民族のお話はこれでオシマイ。
興味深い点が多々あります。
北海道~樺太~千島に広がっていたアイヌ人とは
気候風土も似ていることから
共通する文化的要素もたくさんありますが、
人類学的な形質が大いに異なる。
この点が、センセにとっては最も興味深い。
アイヌのオトコ連 ウイキより
不明 - 新光社「日本地理風俗大系 第14巻」より。
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=7622713による
当然、遺伝子的にも異なります。
「ニブフの夫婦とアイヌのオトコ」の絵を見ても分かる通り、
C2 由来と縄文系の D 由来とは顔立ちも相当に異なります。
但し、あの旦那さんを C2 の代表とするのはいくらなんでも・・・
とは思いますが・・・。
現代日本人には縄文系の遺伝子が 10% 程度認められますが、
YDNA としてみると、30~40% に数値が跳ね上がります。
地域によって異なりますが・・・。
これが何を意味するのか、卑弥呼にまで遡ってお話したいのですが、
当面は何とかウクライナに到達するのに全力を傾けたいと思います。
で、現代の日本人は、
形質的には両者の混合であることは日常的にも感じられますが、
実は日本人の間では C2 が非常に少ない、
ということも以前に述べたことがあります。
C2 だけでなく、N も少ない・・・。
けれども言語は・・・、というカンジで話を進めていきたいのですが、
次の世紀までお待ちくだされ!
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