今月のウクライナ-166

イスラエル軍、とうとうトンネルに海水を注入し始める!
ひゃあ~~~っ!!!
例え争っている仲とはいえ、
武田に塩を送った謙信のように、
人道的見地から言えば、
少なくとも浮き輪と水着、できればスノーケルセットくらいは
前もって送っておくべきだと思いますっ!・・・。

さて、アブドゥル・ラフマーン1世によって復興相成った後ウマイヤ朝ですが、
ベルベル系とアラブ系との対立などで結構ゴタゴタしておりました。
孫のアブドゥル・ラフマーン3世の時代には
これらの反乱軍や北方のキリスト諸国軍を打ち破り、
さらには対岸のマグレブの地に新たに生まれたファーティマ朝のカリフに対抗し
西暦 929 年、自らカリフの称号を名乗るようになります。
ここにイスラム世界は、
アッバース朝、ファーティマ朝、後ウマイヤ朝のそれぞれがカリフを起て、
分裂状況を呈することとなりますが、
ラフマーン3世は「イスラムの前にはみな平等」を全面的に掲げ、さらには
キリスト教徒やユダヤ教徒に対しても彼らを寛容に扱うなどして
アンダルシアをまとめ上げ、
最終的には「おれたちゃみんなアンダルシア人!」
みたいな雰囲気を作り上げることに成功したようです。
若いキリスト教徒にとっては先進的なアラブ文化にあこがれ、
アラブ風の衣装を身にまとい、アラビア語で話すなど、
いわゆる「アラビアかぶれ」の連中も数多くいたようです。
このようにアラブ化した連中のことを「モサラベ」と呼びますが、
今も昔も若い連中がその時々の主流に染まるのは世の常であるようです。
また、ユダヤ人なども寛容に扱われただけでなく、
彼らもまたこの時代のアンダルシアにおいては
特に学術の分野において大きな貢献をしたようです。
現在進行形の両者に聞かせたい話ではありますね。

但しこのような異教徒、特にキリスト教徒に対する寛容政策は、
時代が下るにつれて失われていきますが・・・。

で、ラフマーン3世は、前回お話したように、
東のバグダッドに対抗して学問や芸術にも力を注ぎ、
バグダッド政権が古代ギリシャの学問を
ことごとくアラビア語に翻訳していったように、
コルドバ政権はこれらをことごとくラテン語に翻訳していった結果、
ラテン語で書かれた古代ギリシャの学問は
ピレネー山脈を越えて欧州に流入し、
これらはその後のルネッサンスの礎(いしずえ)となっていきました。

今、ちょとふと思ったのですけど、
ローマ時代に使われていたのがラテン語ですし、
ローマ人は古代ギリシャの文化を引き継いだ連中ですから
古代ギリシャ文化がアラブ経由で欧州に還元されるのは可笑しい、
と感じるのが普通ですが、
これはやはりバチカンやビザンツによる欧州のキリスト教化によって
これらのローマ文化も自らの手でテッテ的に断裂~破壊されたため、
ということなんでしょうね。
どこぞの国の「文化大革命」とやらを思い浮かべますが・・・。

この地に西ゴートの蛮族が侵入する前はローマの統治下であったこの地は
ローマ式の農法で灌漑設備も整い、
豊かな農地が広がっていたようですが、
西ゴートの連中は木を伐り、灌漑設備を破壊し、全て草地にして
羊の飼育で生計を立てていたようです。
この点、イギリスや、あるいは
イギリス入植後のニュージーランドなどと同じです。

ゲルマンやアングロ・サクソンとは反対に、
イスラムの連中はシリアやエジプトの進歩的な農法をこの地に再導入し、
新たに網の目のような灌漑設備を整え、
オリーブはもとより砂糖、レモン、コーヒー、綿花などなど
数多くの農作物をこの地で栽培するようになりました。

因みに、アラビア語では
砂糖はスッカル、コーヒーはカフワ、レモンはリームーン、綿花はクトウヌン
と言いますが、これらは全てアラブ由来の作物です。
英語に取り入れられたアラビア語の一部、ということです。
アラブ原産というよりも、
この当時のアラブの地を通して入ってきた作物が、
その後、現在に至るまでに世界中に広がった、ということです。

興味深い話として、
敬虔なるイスラム教徒は日に 5 回の礼拝を欠かしませんが、
その都度、斎戒沐浴して身を清めるのが義務です。
もちろんいつもいつも沐浴とかできないと思いますので
一応これは「そうすべき」の話ではあると思いますが、
アンダルシアのイスラムの地には
数多くの公衆浴場が建設されたということですので、
イスラム教徒は清潔好きな人々であった(ある)のは確かなようです。
これとは対照的に、中世のキリスト教徒の間では
風呂に入って身を清めることはキリストに対して不敬にあたる
との考えが広がっていたらしく、
羊肉や豚肉を食らってただでさえ臭いのキツイ欧州人、
これが風呂に入らないとなると、これは最悪!
キリスト教徒がイスラム教徒をアンダルシアの地から追い出すようになる
いわゆる「レコンキスタ」の時代には
これらの公衆浴場はキリスト教の精神に反すると考え、
ことごとく破壊してしまったという・・・。

中世の欧州においては、この後に
黒死病が猛威を振るう時代がやってきますが、
衛生観念の違いが
このようなパンデミックの原因の一つにもなったのでしょうかね?

コルドバのメスキータ.jpgコルドバのメスキータ  ウイキより
Berthold Werner, CC 表示-継承 3.0,
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=47616461による

メスキータとは、スペイン語でモスクのことです。
チキータとは、スペイン語で女の子のことです。
バナナや卓球でもおなじみです。
因みに、バナナもアラビア語由来の可能性が指摘されてます。
「そんなバナナ!」← 最悪