今月のウクライナ-102

先日フィンランドが正式に NATO 加盟を果たし、
新たな頭痛の種が増えたプーチン氏ですが、
ご自分で播いた種ですので、
今後の刈り取りをよろしくお願い致します。
豊作をお祈り申し上げます WWWWW。

ウクライナの反転攻勢に関して、
専門家の意見は一致しているようです。すなわち、
「ホントのところは分からない」、ということです。
定法としては南に展開する「クリミア分断説」が一般的ですが、
あまりにも定法に過ぎるので、
「裏をかいて東部ではないのか?」という穿った見方もよく言われます。
ことによると裏の裏をかいてやっぱしクリミアかも知れませんし、
裏の裏の裏をかいてやっぱし東部かも知れませんし、
裏の裏の裏の裏をかいてやっぱしクリミアかも知れませんし、
裏の・・・・・・・・・・・・・

もう止めにします。


さて、トルコとは何ぞや?ということですが、
前回は匈奴の西走によって
トルコ系部族の世界的拡散の第一歩が築かれたお話をしました。
その後は、
モンゴル系(これもトルコと同じく 1 部族由来の名前です)の鮮卑、
その後は N 系の柔然と続きます。
この間、トルコ系部族は、
西に進むもの、南下するもの、故地に留まるものなど色々おりましたが、
故地に留まって中国人に高車とか呼ばれていた連中が
一時的に隆盛となった時期もありました。
前回にお話したように、
高車は、トルコを自称していた可能性のある部族です。

鮮卑の拓跋(たくばつ)氏はその後に北魏王朝を打ち立て、
その後の中国王朝にも何かと影響力を及ぼしますが、
故地のモンゴル高原に現れた柔然によって押される状況となります。
下図参照。5~6 世紀ころの状況です。

トルコ系部族の拡散-3.jpgカルルクやパシミルなどはトルコ系部族ですが、
自称トルコ族とは異なるようです。
で、この図では、自称トルコ族としては突厥が確実ですが、
たぶん、高車やオグズ、トクズ・オグズなども可能性があります。

高車の右に室韋(しつい)というのがありますが、
これはトルコ系ではなく、モンゴル系のタタール人です。
そのうちお話する予定です。

で、オグズという名称ですが、これが部族名なのかナンなのか、
よく分かりません。
トクズ・オグズのトクズというのは「九、9」を意味するので、
トクズ・オグズは 9 姓のオグズ、という意味なのですが、
「じゃ、オグズってなんだよ?」ということになり、
堂々巡りです。
オグズ部族の伝承ではオグズ・ハーン(オグズ可汗)という英雄がおり、
「おれたちゃ彼の末裔さ!」みたいなカンジで
現在のトルコ共和国のトルコ人(ややっこしいですね!)あたりでも
自分たちの先祖はオグズだ!みたいな認識らしいのですが、
先のトクズ・オグズなどはそれよりも古いので、
これまた堂々巡りとなります。

ウイキでは中央アジアの草原地帯から南下して、
その後はイスラム化した連中、との説明がありますが、
これはオグズの名称の説明ではありませぬ。

一説にはそもそも牡牛(おうし)を意味する言葉で、
この牡牛をトーテムとした部族が名乗り始めた、という話もありますし、
牡牛 + オオカミ + クロテン + クマよりなる怪獣のことだ、
という説もあります。

で、なんでオグズにこだわるかと言うと、
トクズ・オグズ~オグズの流れは、
今後、トルコ系部族の拡散を語るのには欠かせない流れであるからです。