今月のウクライナ-74

ウクライナで動きが出てきました。
TV でロシアの国防相がへルソンから部隊を撤収すると発表してましたが、
ゼレンスキーを含め、センセなんぞも
「堂々と TV で発表なんかするかなあ?怪しいんじゃないのか?」と
考えてましたが、どうやらホントに撤収しているみたいです。

で、ドニエプル川にかかる最後の橋に殺到するロシア兵に対し、
ウクライナ軍は通常のロケット弾を
「東部戦線のソ連軍もかくや」とばかりに猛烈に打ち込みました。
で、その結果、悲惨な光景がまたもや繰り広げられてます。

加えて、その、最後の橋をロシア軍自らが破壊した結果、
数千の兵が取り残されてしまいました。

一方で、ウクライナ軍は数十の集落を取り戻したと同時に、
一部はへルソン市内に侵入し始めているとのことです。

以上の情報が正しいとすると、
司令部は部隊の撤収命令を出していることから、
市内に残っているロシア軍は「取り残された」兵士ということになりますので、
そうなりますと、これらの残存兵には戦う意志はない、と考えられます。
そうなりますと、恐れていた市街戦もなく、
必然的に、ウクライナの全面的勝利、ということになります。
先の情報が正しいとすれば、の話ですが・・・。

で、これらの「取り残された」兵の一部は軍服を脱ぎ捨て、
平服に着替えて一般市民に紛れている、との情報もあります。
で、これって、南京陥落時のいわゆる「便衣」と同じになりますので、
ウクライナ軍の取り締まりの対象となるはずです。
便衣兵の摘発は厄介な任務ですので、下手すると、
ぞろ「人権」の問題が頭をもたげ、
西側からヤンヤヤンヤいう輩(やから)が出てくる可能性も生じます。
「攻守所を変える」ということです。
同様に、今後は、残存するロシア寄り市民の扱いも問題となってくるでしょう。

一方で、軍事的には、
主力部隊を撤収させて東岸に陣を貼る方がよっぽど賢いわけですが、
上流部に存在するダム、あれ、どうしますかね?
一部に損傷がありますが、基本は無傷と見られます。
で、これの破壊はウクライナの東岸への進軍阻止につながりますが、
同時に、クリミアへの水の供給を自ら断つこととなりますので、
ロシアも簡単にはこれを完全に破壊することはない、と個人的には思います。
ウクライナも同様です。

で、へルソン陥落により部隊の壊滅は免れたわけですが、
プーチンのメンツは丸つぶれ、と言うわけで、
今後の落としどころがさらに不透明になってまいりました。

けれども、先のセバストポリへのウクライナ軍による攻撃で、プー氏、頭にきて
「ウクライナによる穀物の輸出は再び停止する!」とか言ってましたが、
結局は再開の許可を出しました。
また、今度のへルソン撤退においては、堂々と TV で発表し、しかも
その通りに実行しました。
ま、へルソンに関しては、も少し様子見が必要だと思いますが・・・。

いずれにせよ、こうしてみると、プー氏、
「自らの破綻に世界を付き合わせるのだ!」的な、
大戦末期のヒトラーのような
狂気じみた精神世界に住んでいるわけではない、
とも感じます。
へルソン撤退の TV 放送は、これは国内向けのもの、とも思います。
「無謀な万歳突撃やら玉砕戦法やらはやりませんよ、
ちゃんと合理的に撤退するときは撤退しますよ、
だから皆さん、安心して軍隊に来てネ!
安らかにお眠りいただけますよ!」
というカンジ・・・。
ホントのところは分かりませぬ・・・。

ウクライナにとっても、当面、ドニエプル渡河作戦は困難だと思われます。
大規模停電に晒されつつあるウクライナ市民ですが、やはり、
この冬を乗り切り、敢闘精神を失うことはなく、
かつ、西側が援助継続の意思を示し続けたならば、
その時に、プーチンとロシア国民には相当程度の変化が現れてくるのでは?
と思ってます。