今月のウクライナ-60

ロシアの徴兵逃れ、
未だ予備役の段階で結構大変なことになってるみたいですけど、
これが瞬殺されたあげくに総動員とかかかったら
それこそ蜂の巣をつついたような大騒ぎとなるのは間違いなし!
アメリカがベトナム戦争の時代に同じ問題で大騒ぎとなったのは
センセの世代では未だ記憶に生々しく残ってますが、
あれだけ騒いでも国家として微動だにしないのは、
一つにはアメリカが民主国家であるためです。
要するに、政権はコロッと崩壊しても国家は安泰。
これが民主主義の最大の利点の一つです。
独裁政権では、
「政権=国家である!」と、少なくとも当の独裁者は考えているので、
自分並びに自分の政権を守るために「国家を守るのだ!」と、
論理的に倒錯したスローガンが必然的に唱えられることになります。

分かりやすく言えば、
ゲマインシャフトとゲゼルシャフトの意図的な混同
と言うことです。
分かりやすくないかもしれないけど・・・。

いずれにせよ、しかしながら、
民主主義は、そもそもの矛盾を構造的に内包しています。
ヒトラー首相は民主主義国家であったワイマール共和国で誕生しましたし、
現代においても民主主義国家が独裁的な政治家を生む例は多いです。
要するに、民主的に非民主的な政権を生む可能性を秘めています。

で、先般の選挙の結果、イタリアでは、
ムッソリーニに共鳴する女性党首が率いる極右政党が第一党の座を占めました。
すなわち、EU のお荷物と呼ばれるハンガリーに加え、
イタリアがポピュリズム的政策を唱える可能性が出てきました。
プーチンはしめしめと思っているかもしれません。

この冬のエネルギー供給問題に関して、
欧州各国、特にドイツは、相当に不安感を持っているはずです。
ここにきて「ストーブ」用の「たきぎ」の需要が高まり、
「たきぎ泥棒」まで現れているとのハナシです。
ドイツにおけるエネルギーのロシアへの依存度は断トツであるのに加え、
旧東ドイツ住民のロシア時代へのノスタルジア、
さらには前首相のメルケル氏による移民受け入れ問題への反発などもあり、
民意が結構分断されてます。
加えてスウエーデンでも極右政党の進展著しいことが報じられるなど、
EU は必ずしも盤石な結束を誇る状況にはないようです。

従いまして、プーチン氏としましては、
「ここが踏ん張りどころ!」と考えているかと思います。
欧州がこの冬を乗り切ることができるか否か、
欧州~西側世界の経済が持ちこたえることができるか否か、
これを乗り切り、かつ、ウクライナへの供与が継続できるようであれば、
その時ようやくプーチンは音を上げるかもしれません。