今月のウクライナ-40

スリランカが国家破綻の瀬戸際にまで追い詰められて
とうとう大統領が国外に逃げ出してしまいました!
これもあれもロシアがウクライナに侵攻したせいだ!

日本もいつのまにやら
70 年代の石油ショックのころを思い出させるようなインフレ状況だ!

加えて円安が止まらない!
ついこの前まで円高だ~デフレだ~アベノミクスだ~とか騒いでいたものだが、
今となってはリーマンが懐かしく思われる・・・。

文字通り、まことに現金なものだ・・・。


さて、ここでスキタイ戦士の、
勇猛果敢であると共に華麗でもあった生活の一端をご紹介したいと思います。
馬に騎乗して矢を射る戦いぶりから明らかなように、
彼らは、ズボン姿にブーツという現代人と同じような軽快な服装に身を包み、
三角帽子やとんがり帽子を被り、
短弓、あるいは盾と短剣、あるいは槍や戦斧を持って戦いました。

スキタイ戦士.jpgスキタイの戦士 ウイキより

スキタイの王.jpgキンキラしたスキタイの王の衣装。
中央アジアのクルガンから出土しました。 ウイキより


王を頂点とし、彼に絶対的忠誠を誓う取り巻きたち(貴族)を中核として、
戦闘軍団が構成されていたようです。
その他、遊牧を専らとする連中や農業に従事する連中もいたようで、
ヘロドトスは、これらのスキタイ社会を「王族スキタイ」、「遊牧スキタイ」、
「農耕スキタイ」、そして「農民スキタイ」の四つのスキタイに分類してます。
「農耕スキタイ」と「農民スキタイ」の違いに関しては色々説があるようで、
また、これら遊牧をしないスキタイは実はスキタイではなく、
スキタイに隷属していたスラブ人であった、という説などもあります。

スキタイマップ.jpgスキタイマップ  ウイキより


確かにスラブ人というのはそんなイメージがあります・・・。
「スラブ人は畑で採れる」とかいうカンジ。
チェルノーゼムの畑からカブを引っこ抜いたらプーチンが現れた、
とか・・・。

で、「本当の」スキタイはやはり遊牧と戦争を専らとする連中のようで、
住まいもモンゴルなどで見られるような移動式のものだったらしく、
戦いの際も押さば引け、引かば押せがモットーのようでありました。
アケメネス朝ペルシャ王、ダリウス 1 世がスキタイを追って
ウクライナまで攻め込んだ時、スキタイの王は戦うこともなく、
さっさと住居を畳んですたこらサッサと逃げ出して、
ダリウス王が仕方なく手ぶらで帰国するとサッサと元に戻るという、
遊牧民独特の戦いかたをしています。

「一所懸命」が身上の
ヤマトの武士(もののふ)とは根本的に異なるようで・・・。

で、スキタイ王を中心とする貴族戦士の精神的紐帯には強いものがあり、
戦利品や税などはもっぱら彼らで独占した一方で、
王が死ぬと、彼らもまた殉死するのがしきたりで、
加えて多くの馬もまた殉死させられ、
これらが一緒くたになってクルガン墳墓から数多く発掘されています。

クルガンの馬の殉死.jpgクルガンの馬の殉死想像図  ウイキより


で、興味深いことですが、
これらの王の墳墓からは荘厳華麗な金細工もまた数多く出土されました。
実際のところ、現代のように歴史学~考古学などが発達する前は
クルガン墳墓は盗掘者にとっては宝の山であり、
出土する金銀細工は全て溶かされ、金塊として売られておりました。
それでも現存する数多くの金細工を見ると、
彼らは単純に乱暴狼藉を働くだけの粗野な連中であったとは思えず、
貿易~交易にも従事し、冶金術に長けていたのは間違いありません。

黄金の櫛.jpg戦闘場面を描いた黄金のクシ  ウイキより


彼らは特に「金」に魅了されていたようで、
また、彼らの故国であると思われるアルタイ山脈は金山でもあり、
ここで採掘された金鉱を自分たちで精錬して金細工を作ったのか、
あるいはよそで作らせたのかは分かりませんが、
ともかくも、出土した金細工には驚くほど精細なものもあり、
たぶん、色んな先進的文明に接してきたスキタイの連中ですが、
先進文明の技術とセンスに加え、
これにさらに自分たち独自の草原文化のセンスを加味して作り上げたものが、
これらの金細工なのだ、と考えています。

黄金の首飾り.jpg精細極まる黄金の首飾り  ウイキより
この当時、日本は未だ弥生時代であります・・・。

そのような彼らの草原文化のセンスは、
優美で繊細な金細工で作られた数多くの装飾品の中に描かれる
ライオンやグリフォンの血なまぐさい闘争模様において
典型的に表現されていると思います。
上図首飾りの最下段が、馬を襲うグリフォン(有翼獣)です。

※因みに当時、ライオンは、欧州から西アジア~インドにかけて
幅広く生息しておりました。
インドには、数は少ないですが、現在でも生存しています。
グリフォンは、残念ながら、未だに化石すら発見されておりませぬ・・・。