今月のウクライナ-28

さて、人類の進化の歴史において、
農業~牧畜の発明が重要な役割を果たしてきたことは、自明のことであります。
野生の小麦や大麦を人工的に栽培することを考え出した人々は、
これもやはり中東のアナトリア界隈の連中でした。
大体、今から 1 万年くらい前、と考えられています。

幸いにも直ぐ東に「肥沃な三日月地帯」と呼ばれる文字通り肥沃な地域があり、
まずはその地域に伝播し、これがチグリス~ユーフラテス川に沿って
ペルシャ湾に注ぐ一帯に広がって行き、
灌漑農業が営まれ、都市国家群が生まれ、メソポタミア文明が生じた、
という流れは教科書でもおなじみです。

その後、三日月地帯周辺地域でウシやヒツジなどの牧畜が生まれ、
農業~牧畜文化が周囲に拡散していきます。
紀元前 6500 年くらい前のことである、と言われてます。
このころには東アジアの長江流域で水田稲作が行われていますので、
世界各地で独自の農業が独自に生じたことになります。

アナトリア地域からバルカン半島に伝わった農業~牧畜は、
その後、西方~北方~北東地域に広がっていきます。

当時の欧州に居た連中は軒並み狩猟採集民でしたが、
たぶん、日本の縄文時代と同じく、
狩猟採集民の人口は圧倒的に少なかったはずですし、
話していた言葉も色々だったと思われます。
姿かたちも農耕民とは何かと異なっていたことでしょう。

バルカン半島を北東に向かった農耕民は、現在のモルドバ辺り、
まさに沿ドニエストル地域において、
広大なステップでシカやウマを狩ったり
黒海の浜辺でチョウザメなんかを獲っていた狩猟採集民と遭遇しました。

彼らこそが、後に欧州を席巻することとなる連中、
印欧語族のご先祖でした。原(げん)印欧語族と勝手に命名しときます。
紀元前 5000 年くらいのことと考えられてます。

農業の伝播.jpg欧州における農業と牧畜の伝播方向
だんだんウクライナが近づいてきました!


従いまして、中東を出て農業と牧畜を欧州一帯に拡散していった人々は、
おそらく、アフロ・アジア語に属する言語を話していた連中だと考えられます。
彼らは古欧州人と呼ばれます。

従いまして、欧州は、まずはネアンデルタール人が居り、
次にクロマニヨンやチェダーマンのような狩猟採集民が到来し、
そこに古欧州人が住まい、
その後に色んな種類の印欧語族が猛烈に、しばしば暴力的に広がり、
歴史時代に入ると東方から中央アジア由来の連中が押し寄せ、
さらにはイベリア半島などは一時期アラブが占拠するなど、
色んな連中が長期にわたって複雑に重なり合った複雑なところなんです!
だもんで、歴史的に紛争の絶えないところなんです!
一国に色んな民族を抱えているのがごくごく普通のところなんです!
だもんで、それを解決するために色んな知恵を出し合ってきたところなんです!

さらにウクライナが近づいてきました!