今月の書評-42

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アート・ブレイキーの「Moanin'」で始まる番組といえば、Eテレの「美の壺」。
谷啓の頃から見てるお気に入りの番組ですが、その後に「サイエンス・ゼロ」を見てお休みなさ~い、というのがセンセの週末の最後の瞬間です。

で、昨日の「サイエンス・ゼロ」、鳥取県で出土した弥生人骨のDNA分析結果の途中報告を行ってました。今月の書評-30」でもご紹介しましたね!

で、ここでも何度もご紹介している国立遺伝学研究所の篠田謙一氏のmtDNA の分析結果ですが、予想に反し、90% 以上が弥生系、すなわち「大陸系」のハプロタイプであったそうです。弥生人骨ですから弥生系であたりまえ、と考えるのは単純でして、予想に反しということは、もっと多くの縄文系が存在しているだろうと考えていた、ということですね!センセもそう期待してました。

なぜもっと多くの縄文系ハプロタイプがあると考えていたのか。それは、
1)この地方と東北地方の言葉は似ており、いわゆるズーズー弁。そしてズーズー弁とは縄文語が日本語を取り入れる際に生じた現象であるという説がある。
2)ゲノム分析結果から、出雲人と東北人の両者には共通性があり、西日本に典型的な「大陸系」タイプとはやや異なる。
3)これらの違いをもたらしているものが、両者に残存する「縄文の軌跡」である、と考えられる。
4)出雲の「国譲り神話」とは、縄文から弥生への移行を表すものなのでは?とも考えられる。
などなどの理由からです。

けれども、縄文との関係に関しては、今回の結果からはあまり多くを言えない、と思います。その理由は、TVの映像を見る限り、今回出土した人骨はまことに立派な甕棺(かめかん)に埋葬されており、服飾品もナカナカ豪華であることから、出雲地方の土着民の骨ではないことは明らかです。
しかも槍傷刀傷矢傷が見られる例もあったそうなので、そう考えますと、「国譲り」前に大陸から渡ってきた連中と土着の連中との紛争の最中、渡来派の骨がたまたま出土し、これを分析した、という可能性を否定できません。

今回はmtDNA 分析の結果であり、ゲノム分析の結果はこれからですので、結論を出すにはいまだ早いのかも知れませんが、まず十中八九、ゲノムでも大陸系の結果となると思います。
これがゲノムで縄文がかなり多く出てきたらそれこそ興味深い結果となり、「大国主は弥生系ののっぺり顔のオンナがタイプだった!」とか、センセーショナルに報道されるかと思いますが、可能性は限りなくゼロかと・・・。

それよりも個人的に興味深かったのは、mtDNA 分析において、一口に大陸系とは言っても北方系から内陸系、さらには南方系に属するハプロタイプが幅広く検出された、との篠田氏の文言です。
今月の書評-30」でも指摘したように、長江文明や遼河文明を形成した人々のタイプが混然となって出雲地方の弥生人骨から検出されたとしたならば、これは弥生人がどこでどのように形成されたのかを物語る強力な証拠となります。

こうなりますと、日本語=縄文語が発展したもの、という説は、ますます居心地が悪くなりそうです。

次回は、アイヌ語=縄文語ではない!というセンセの説を、も少し説明したいと思います。









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このページは、喜源テクノさかき研究室が2018年12月24日 10:03に書いた記事です。

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