今月の書評-18

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さて、今回はミトコンドリアDNA 分析についてお話します。
まず、ミトコンドリアについて簡単に説明いたします。

ミトコンドリアは、細胞核やゴルジ体などと同じく「細胞内器官」の一つで、主としてエネルギーの産生を司っています。
顕微鏡で観察すると細菌のように見えますので、これを最初に見つけたヒトは「これは細胞内に寄生している微生物だ!」と思ったそうですが、ガン無視されました。けれどもその後1967年、アメリカの女性生物学者であるマーギュリス博士が再び寄生説を唱え、現在ではこの「寄生説」が支持されています。

ミトコンドリア.jpg

ミトコンドリアは医学~生物学~生化学~進化論、そして人類学においても極めて興味深くかつ重要なものなので、これを解説し始めるときりがなくなります。
ですので、ここでは縄文人に関して重要な以下の点だけ覚えてくださればOK です。

1) 細胞核遺伝子とは独立した遺伝子を持っている。
2) DNA のサイズが小さいので、分析しやすい。
3) 細胞中にたくさん存在しているので、遺跡から出土した人骨の中にも残っている確率が高い。
4) 受精時、卵子のミトコンドリアは受精卵に受け継がれるが、精子のミトコンドリアは受け継がれない。そのため、母親のミトコンドリアは子孫に受け継がれる一方で、父親のミトコンドリアは受け継がれない。従って、Y 染色体が男系を伝う一方で、ミトコンドリアは母系を伝う。

縄文人の場合に最も重要なのは3 で、前回のY 染色体のお話はすべて現代人のサンプルを用いてのものでしたが、ミトコンドリアのDNA を用いた分析(mtDNA と略します)では、出土した縄文人の骨から直接得られたサンプルを用いて分析ができるという強みがあります。
また、母系の分析となりますので、YDNA と合わせれば、ナカナカ興味深い結果が得られることが期待されます。

で、前回のYDNA と同じく、縄文人をいくつかに分類します。アイヌのご先祖様、本土縄文人、沖縄のご先祖様などなどです。お話が進むにつれて、現代人のmtDNA に関しても言及していくかも知れません。
また、YDNA と同じくA だのB だのC だの、さらに加えてA2 だのB3 だのC4 だのごちゃごちゃします。ですので、本当に申し訳ないのですけれど、YDNA と混同なさらぬようご注意ください。


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このページは、喜源テクノさかき研究室が2018年5月27日 10:39に書いた記事です。

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