お焦げとガンについて-18

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そろそろまとめに入りたいと思います。
まず、そもそも何で「お焦げを毎日茶碗一杯くらいに食べてもガンにはならない」などと脳天気なことをTV で言う連中が居るのか、ネットでちょいと調べてみましたら、原因が分かりました。どうやらそれは、昭和56 年に国立衛生試験場の先生が魚粉を焼いて焦げにしたものを最大20% に餌に混ぜ、ハムスターに2 年間与え続けた実験から来ている様でした。まず、この実験について考えて見ます。

動物は、ヒトの完全な代用となる事は出来ない-1

こう書きますと、「なら、何で動物実験とかするの?」とか聞いてくるかも知れません。さらには「かわいそうだから、やめれば?」とまで言うヒトもいるかも知れません。
個々の動物実験には個々の目的があり、その目的に沿って実験をデザインします。まず初めに行う事は、どの種類の動物~或いはこの段階では「生物」と言う方が良いかも~を用いるかを決定する事です。

例えば「遺伝」の実験などで世代の推移による形質変化などを調べる場合には、しばしばショウジョウバエなどが用いられます。その理由は、短期間に非常に多くの世代交代を観察する事が出来るからです。けれども実験者は、そのようなショウジョウバエを用いた実験結果をそのままヒトに当てはめる様な事はしません。ショウジョウバエと言う生物が持つ限界を十分に認識した上で、実験結果から得られた意義を語るはずです。

医学系の実験でも全く同じです。遺伝子の実体が明らかとなった頃の実験は、その多くが大腸菌や酵母を用いて行われてきました。哺乳類細胞を用いるよりも実験が簡単ですし、単細胞生物を用いて基礎的な知識を積み重ねた後、哺乳類細胞に移行すれば良いからです。哺乳類細胞で多くの知見が重なれば、次にネズミを用いて実験を行い、さらに次には・・・・と言うカンジで進んでいきます。初期の段階においても、研究者の視野の彼方には常にヒトの姿が写ってはおりますが、研究結果そのものをそのままヒトに当てはめる事はしません。十分に限界を知っているからです。

先のハムスターを用いた魚粉のお焦げの実験ですが、古い仕事ですので、残念ながら当該の文献を見つける事が出来ませんでした。仕方がないので、たぶんこういう事だろうと、センセの頭の中で「再現実験」して見ました。以降はセンセの頭の中の空想の実験経過です。


肉や魚のお焦げから得られた発ガン物質をネズミに投与すると、ガンが発生する事が分かっている。
次に行うべき事は、実際にお焦げを与えた場合はどうなるのか、調べる事だ。
どれぐらいの量のお焦げを、どのぐらいの期間食べればガンが発生するのか、
それが分かれば上出来だ。
けれどもヒトを用いてこの実験を行うわけにはいかない。何らかの動物を用いて行うしかない。
本当はチンパンジーを使って実験したいが、予算も無いし、何よりも人道的に、
いや、猿道的に許されない。
仮にチンパンジーを使う事が出来たとしても、結果が出るのは何十年も先の事になるだろう。
それもまずい、、、。
ここは取りあえずネズミを使おう。
ネズミにもラットやマウス、ハムスターやモルモットやスナネズミなど、色々な種類があるし、
マウスなどはC57BL だのBALB/C だの色んなヤツがあるが、どうするかな、、、。
実験目的を考えれば、ヒトの代謝系に最も近いものでやりたいな。
けれども今は昭和56 年だから、そんな事が良く分かっている時代じゃないしな、、、。
お、オリビア・ニュートンジョンの「フィジカル」がFEN から流れてきたぞ!
フィジカル、フィジカル・・・・
ええっと、さてと、、、。
今の段階では、そこまでの仕事は出来ないな。
ともかくどのネズミでも良いから実験して、結果を出しておく事が大事だ。
それが否定的であれば、それはそれで
そのネズミでは良い反応を示す事は無かった、と言う事実が明らかになるからな!
それだけでも大きな進歩だ!
よし、俺はハムスターが好きだから、まずはハムスターでやって見よう!


と言うカンジでハムハムクンを用いて実験しました(センセの空想ですよ!衛生試験場の先生が本当にそう考えたかどうかは知りませんよ!)。

で、結果は、「ヒトがお茶碗一杯ぐらいのお焦げを毎日一生食べ続けるぐらいの量を与えないとハムスターはガンにならない」と言う事が分かりました。これで十分だと思います。立派な結果です。

この実験結果から言える事は、「ハムスターに魚粉由来のお焦げをたくさん与えても、なかなかガンには成らない」と言う事です。この実験結果から、「ヒトは、魚粉由来のお焦げを死ぬほどたくさん食べても、ガンにはならない」と言う結論を導く事は出来ません。

この実験結果から「魚粉由来のお焦げをヒトが死ぬほどたくさん食べてもガンにはならない」と言う結論を導くためには、「ハムスターの代謝系はヒトの代謝系に極めて近似しているので、代謝系が関与するヒトのイベントはハムスターで代替出来る」と言う事があらかじめ証明されていなくてはなりません。けれどもその様な事実は見あたりません。

従いまして、この実験結果からこれ以上の議論を引き出す事は出来ません。

それにしてもハムハムクン、20% のお焦げ入りの餌を死ぬまで食べさせられていたなんて・・・・お焦げ好きのヒトは別として・・・・合掌・・・・ナムナム・・・・・。

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このページは、喜源テクノさかき研究室が2014年5月 1日 20:06に書いた記事です。

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