お焦げとガンについて-9

| | トラックバック(0)
さて、どうでしょうか?
分かったような、分からないような、と言うカンジではないでしょうか?
ありそでなさそで、、、。

もう少し議論を詰めてみたいと思います。

食肉と大腸ガン罹患率との関係に影響を及ぼす因子

大雑把に見ると、食肉の消費量と大腸ガンの間には何らかの相関がありそうな雰囲気は濃厚なのですが、素直にデータを読むと、おかしな点がいくつも見つかります。
例えば、1970年代のデータではアメリカの食肉消費量と大腸ガンの相関は明白ですが、2012年の統計では、食肉消費量は相変わらず1位であるにも関わらず、大腸ガン罹患率は日本よりも低いなど、実に意外な点が目に付きます。

肉の種類で見ると、ウルグアイは牛肉の消費量が世界でもトップクラスを毎年維持してますし、南米諸国の間では大腸ガン罹患率も最大ですので、その点よく相関している様に思えます。ところが、隣国のアルゼンチンやブラジルもまた、ウルグアイと牛肉消費量の世界1~2 位を毎年争うほどに牛肉を良く食べる国です。けれども両国とも、欧州や豪州の国々に比べ、大腸ガン罹患率はそれほど高くありません。

アジアに目を向ければ、日本や韓国の食肉消費量は欧州~北米~豪州諸国のそれと比べて顕著に少ないですが、大腸ガン罹患率は遜色ありません。モンゴルは食肉消費量は日本や韓国よりも多いのですが、大腸ガン罹患率は圧倒的に低いです。

どう見ても食肉消費量だけでは説明出来ないのは明らかですので、個人的に考えた「大腸ガン罹患率に影響を及ぼす因子」を以下に列挙し、考察を加えてみたいと思います。

1. 人種の差?
日本人は糖尿病に罹りやすい、と言う事実があります。アメリカ人にはトンデモタイプの太ったヒトが多いですが、日本人でしたらああなる前に糖尿病の診断が下されてしまうかと思われます。ホントの事は分かっていないのですが、説得力のある説として、「数万年にわたって低栄養の環境下で暮らしてきた日本人は、その様な環境で生き抜くために遺伝的適応を遂げた結果、欧米人と比べて相対的に少量のエネルギー摂取でも、糖尿病を引き起こす様な体質となっている可能性がある」と言うのがあります。この説が正しいとするならば、少なくとも仏教伝来以降、1,000年以上の長きにわたって肉食に乏しかった日本人ですので、戦後のわずか数十年間の急激な食生活の変化が発ガンに及ぼす影響が欧米人よりも高い可能性は、十分にあると思います。

2. 高齢人口の差?
ガンは基本的に高齢者の病気ですので、高齢人口が全人口に占める割合が高くなれば、必然的にガン罹患率は高まります。先の大腸ガン罹患率マップに基づくデータは人口10万人当たりの大腸ガン罹患率に過ぎず、高齢者限定のデータではありませんので、日本などの高齢化が進んだ国の数値が高めになる可能性は十分にあります。但し、モンゴルやエジプトは別として、グラフ上位の国々のどれもがいわゆる先進国で、お互いそれほど高齢人口の割合に大きな差があるとも思えませんので、大した補正は期待されない気もします。

3. 大国のデータは、あまりあてには出来ない?
アメリカや中国、ロシアやブラジルなど、人口が多く、様々な階層が混じり合っている様な国は、一般的に貧富の差がもの凄く、ごく一部の人々の数値が他の大多数の人々の数値に大きな影響を与えている可能性があります。
例えば日本などでも、「ええ~~っ!日本人の平均収入って、こんなに高いの???」とか思った事のあるヒトもいるかと思います。このからくりは、一部の大金持ちの数値が平均値を押し上げるためです。従って、中央値というのですが、「一番人数が多い収入」で見たときには「ううむ、納得、、、」となる訳です。
ウルグアイなどは比較的小さな国ですが、お隣のアルゼンチンやブラジルは大国ですので、この点が牛肉消費量と大腸ガン罹患率の間に何らかのギャップをもたらしている可能性は大いにあるかも知れません。
また、アメリカの様に、移民の流入が多く、文化的変化が比較的急激に生じる様な国では、これらの要因が罹患率の変化に大きく影響する可能性があります。具体的に言えば、アメリカ中西部においてはメキシコからの移民が多く、ヒスパニック系住民が過半を占める地域も数多い訳ですが、マップを見れば分かるように、メキシコの大腸ガン罹患率は小さいので、これらの移民の流入が近年のアメリカの大腸ガン罹患率の低下に影響を及ぼしている可能性は、決してゼロではありません。この先議論する予定ですが、移民の第一世代と二世~三世の間においては様々な指標に違いが出てくる例が多いので、将来においては、アメリカの様な移民数が多い国のデータが大きく変化する可能性は、十分にある様な気がします。

4. 調理法の差?
HCA は焦げ目が付くほど高熱で調理した場合に発生する事を指摘しました。従いまして、仮に食肉消費量が高くとも、例えばシチュー、例えば煮込み、例えばシャブシャブ、例えばタタキ、で食べれば、大腸ガンは少なくなるかも知れません。けれども、上記の国々の中でシチューや煮込み、シャブシャブやタタキがメインディッシュの国って、、、たぶん無いと思います。従いまして、このセンは薄いかと思います。
その他にエスキモーの例があります。エスキモーに関しては、このシリーズの最後の方で少し議論する予定です。

5. その他の食材による影響?
これは大いにあるのでは?と考えています。一応データは女性のみを抽出してグラフ化しましたが、それでもタバコや飲酒、動物性脂肪、乳製品、香辛料などの影響は否定出来ません。また、大腸ガンに対して抑制的な効果を及ぼす食材の摂取や生活習慣なども、大いに影響している可能性があります。この点に関しては、特にフィンランドやモンゴル、或いは韓国の例をとり、より詳しく突っ込んで見たいと思います。

6. 医療技術の差?
データはわざわざ罹患率で示しました。死亡率で示さなかった理由は、死亡率の場合は医療技術の差が大きく影響する可能性があるためです。しかしながら、罹患率の場合は、検査技術の差が生じる可能性は大いにあると思います。検査技術や、或いは健康保険制度などの制度上の仕組みにより、A 国よりもB 国のヒト達の方が多くガンが検出されがち、と言うバイアスは否定出来ません。

7. 予防法の啓蒙が浸透?
これも可能性無しとは言えません。特にアメリカでの大腸ガン罹患率の減少には、これが大きく関わっている可能性があります。この点に関しては、後々より詳しく考察してみたいと思います。

では、本日はこんなカンジで、、、。 


トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: お焦げとガンについて-9

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.kigen-technosakaki.jp/mt/mt-tb.cgi/79

この記事について

このページは、喜源テクノさかき研究室が2014年4月22日 16:41に書いた記事です。

ひとつ前の記事は「お焦げとガンについて-8」です。

次の記事は「お焦げとガンについて-10」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。