お焦げとガンについて-2

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ガン概論:その2

ここでは発ガン誘発因子(イニシエーター)と発ガン促進因子(プロモーター)のお話を致します。

ガンは細胞の遺伝子が変異を起こすことによって生じる病ですが、この遺伝子の変異を直接的にもたらすものを発ガン誘発因子と呼びます。前回の例で挙げたカビ毒のアフラトキシンや、体内で発生する活性酸素などが誘発因子の代表です。発ガン促進因子とは、これらの誘発因子によって変異を起こした細胞がその後に増殖を繰り返して最終的にガン細胞となる過程を促進したり、或いは誘発因子が細胞遺伝子に働きかける過程を手助けする様な因子の事です。細胞がガン化するためには、多くの場合、この両者が必要となります。

アフラトキシンや活性酸素、或いは放射線や紫外線などは比較的分かりやすい発ガン誘発因子ですが、アスベストやピロリ菌などの発ガンメカニズムは複雑で、これらを上記二分類に組み込むのは困難です。アスベストは免疫系を誘導する事によって局部の炎症を引き起こし、これが長期化する事でガン化につながる訳ですが、この場合、アスベストそのものは遺伝子変異とは無関係ですので、これをイニシエーターと呼ぶことは出来ません。同じようにピロリ菌も直接的に胃粘膜細胞の遺伝子に損傷を与える訳ではありませんので、これもイニシエーターではありません。前者は、免疫細胞が局所で放出する活性酸素や、或いはアスベストに付随した鉄元素による触媒機構によって生じた活性酸素によって局所細胞がガン化すると考えられておりますし、後者はピロリ菌が産生するCagA タンパクによって細胞内伝達系が攪乱(かくらん)され、細胞の異常増殖をもたらす結果、ガン化につながると考えられています。従って両者ともに、厳密には先に定義したプロモーターに分類されるべきものであると思われますが、CagA タンパクをプロモーターと呼ぶのは自然である一方で、ピロリ菌そのものやアスベストそのものをプロモーターと呼ぶのには相当な違和感があります。

即ち、前回で紹介した様に、ガン化の内部要因において、細胞増殖メカニズムや免疫系の様に、生体恒常性維持のために働いているシステムそのものがガン化に対して大きな役割を果たしている可能性が指摘されますので、この先、単純に「イニシエーターとプロモーター」の様な言葉を用いてメカニズムをお話していく事は、これはナカナカ困難な仕事である様に思われます。

要するに、発ガン過程って、もんのすごく複雑ナンです。

従いまして、この先のお話を続けていくために、センセはこの様な「言葉遊び」を一旦やめ、今一度、センセの言葉で分かりやすく「発ガン要因」を分類して見ようと考えております。

ナンか、前回「なるべく分かりやすくお話していきます」などと申し上げましたが、結構難しくなってしまいました。おまけに、いつもと違って推敲に推敲を重ねて書いておりますので、平日の夜に書ける量はせいぜいこの程度。申し訳ないです・・・。

では、続きはまた近々!Good Night Baby !

 

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このページは、喜源テクノさかき研究室が2014年4月 9日 21:34に書いた記事です。

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