食用微生物のお話 その四

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なかなかブログの更新が出来なくてすいません。普段は仕事で書く暇が無いし、週末は他のことで目一杯でこれまた不可能。で、祝日祭日を利用してちょっとずつ書き足しています。今日は平成22年12月31日(金)、すなわち今年の大晦日。ただいま午後三時半であります。早めのお風呂を浴びて、夕食までまだ時間があるので、これを利用して書いています。お題はこの前の続きの「人間は自分が動物であることをすっかり忘れてしまったのでは無いのか?仮説」です。

中山センセは朝起きると、まずこゆ~いコーヒーを作って、それを啜りながらたっぷり一時間かけて、The Daily Yomiuri を読みます。それが終わると、朝食や昼食の時間に日経新聞を読みます。これらの新聞の日曜版とか家庭欄とかには必ず健康に関する連載ものが載っていたりします。大概毒にも薬にもならぬありきたりのことしか書いていませんが、時々聞き捨てならぬことが書いてありますので、さすがに温厚なセンセでも、時折ツッコミを入れたくなります。

このような健康に関する連載ものでは、ほぼ必ず健康食品を悪玉に仕立て上げます。これはほとんどお約束と言っても良いぐらいで、書いてる本人達ははじめから自分を正義の味方の位置に置き、その位置を補強するためにも健康食品を悪玉に仕立て上げなくてはならない、と強い信念を持っているかのようです。そしてそのような連載のすぐ裏面にデカデカと全面広告で「ナントカペプチドが血圧に効く!」とか載っているのですからこの時点ですでに噴飯ものです。

もちろん新聞社は中立の立場ですし、また商売でもある訳ですからこのような現象もさして驚く必要は無く、むしろ言論が健全である証拠と言っても良いのですが、あんまりあからさまなので、時々本当に可笑しくなります。

ここでセンセがツッコミを入れたいのは、実はそういう新聞社の態度では無く、「健康食品悪玉説」を流布させる人たちの哲学に対してです。

センセを含めて食品科学に携わっている多くの研究者達にとっては、食品=単なる栄養という図式でものを考えている人たちは、すでに皆無だと思います。難しい言葉で「食品の三次機能」とも言いますが、おなかを満たし、体に基本的栄養を与える役割が一次機能、おいしさを追求するのが二次機能、そしてよりよい健康を追求したり、病気を未然に防いだり、或いはより積極的にある種の病気を食で直したりするのが三次機能です。「健康食品悪玉説」を唱える人には医師が多く、彼らが言うには、「食事には三次機能などは無い。仮にあったとしたらそれはすでに医薬品も同然であるから、食として食べてはいけない。それでも仮に食物の中に機能性のある物質があるとしたら、それは食物全体として食すべきもので、それを抽出し、カプセルの様な、食品とは思えない形態で摂取するのは言語道断、将に悪魔の所行である!」とでも言わんばかりです。

センセはこのような説が誠に噴飯ものであることをこれから証明しようと思います。

現在の医薬品には化学的に合成されたものが数多くあります。しかしながらこれらの合成医薬品も、過去に蓄積された数多くの天然医薬品の知識の結晶と言うべきもので、しかも未だに新たな医薬品が自然界からもたらされ続けています。おそらくまだまだ長い将来にわたって、新たな天然医薬品が見いだされていくことでしょう。これらの天然医薬品は、本来的には、ある種の植物や微生物、或いは動物の体などから抽出されます。例えばグリチルリチンという消炎剤として幅広く使われている物質は甘草という草から抽出されますし、抗生物質のペニシリンは青カビから、ウルソと言う胃腸薬は元々は熊の胆嚢から採取された物質です。

これらは単離精製した場合に効果がはっきりと現れるので医薬品として分かりやすい例ですが、必ずしも短期間では明白な効果をもたらさないけれども長期にわたって摂取することによって人間の健康に大きく影響したり、或いは将にヒトの恒常性(難しいですね!)の維持に役立つ様な物質も自然界には数多く存在します。このような物質は、これまで科学が十分に発達してこなかった時代には結局検出、証明することが不可能でしたので、「検出できない、証明出来ない=無いも同然」と言うおなじみの図式により無視されて来ました。けれども検出技術や実験技術の進歩のおかげで、これらの「穏やかな作用をもたらす物質群」にも、科学の光が当たるようになってきました。

そのような物質群の代表が、ビタミン類やポリフェノール類、食物繊維、微量元素類、そして食用微生物群です。そろそろお腹がすいてきましたので、この続きは後ほどに!ことによると、来年?

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このページは、喜源テクノさかき研究室が2010年12月31日 15:22に書いた記事です。

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