食用微生物のお話 その三

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今回は、普段中山センセが考えている食用微生物に関する「思想哲学」を開陳したいと思います。思想哲学と申し上げる所以は、この考え方が特に市民権を得ているわけでもなく、いわんや科学的に証明されているわけでもないからです。単に「独り言」と言っても良いのですが、それではセンセの股間、じゃなくって、沽券に関わりますので、敢えて「思想哲学」と書いてみました。なかなか重くて良い感じです。

さて、本筋に戻ります。

お題は、「一体何故、食用微生物の摂取は身体に良いのか?」と言う事です。

だって皆さん不思議に思いませんか?実に様々な種類の乳酸菌関連商品、酵母や麹を用いた健康食品や医薬品、さらには味噌や納豆などなど、どれもこれも身体に良いと謳われているものばかりです。そして実際にこれらは様々な疾病に効果があります。少なくとも動物実験では明らかに効果が出てきます。健康な人々がこれらを日常的に摂っていると、そうでない人々よりも様々な疾病に対して抵抗力が生じる、と言う報告も数多くあります。但し人間を用いたいわゆる疫学調査などでは、必ずしも明確な因果関係が常に証明される訳ではありません。この様な疫学調査では、その度に結果が逆転することが珍しくありませんので、個人的にはあまり重要視しておりませんけど、、、。こう言うと、疫学の先生達から怒られるから言いたくないけど、、、。でも言っちゃったけど、、、。

「衛生仮説」という説があります。

これは、牛や馬などを飼っている農家などで生まれ育った子供達はアトピーにかかりづらい、と言う経験則から生まれた仮説で、説得力があると思います。詳しく述べると、牛馬のフン中の細菌、特にグラム陰性菌、に小さなうちに暴露されることによって免疫系が刺激され、発達する結果、その後は多少の外来物質に対して過敏に反応しなくなり、その結果アトピーなどにかかりづらくなる、というものです。

センセの「思想哲学」はこれのさらに上を行く代物で、センセは自説を「人間は自分が動物であることをすっかり忘れてしまったのでは無いのか?仮説」と名付けました。ちょっと長いのが難ですけど、、。

さて、センセの「人間は自分が動物であることをすっかり忘れてしまったのでは無いのか?仮説」とは、本来あるべき姿の人間は、食物その他から、もっともっとたくさんの微生物を摂取しているはずである、と言うのがその骨子です。ペットの犬猫を除く自然界の哺乳類、例えばアフリカサバンナのシマウマは草原の草を食べていますが、その時彼らはこれらの草を流しで洗って食べるわけではありませんし、そのシマウマを追っかけて倒して食らいつくライオンは、倒したシマウマをバーベキューにしてちゃんと焼いてから食べるわけではありません。みんな自然界にあるモノを、そのまま生で食べるわけです。ライオンなどは、シマウマの内臓から食べると言われています。少し考えると分かりますが、彼らは相当量の微生物を自然に摂取しているはずです。そしてそのような生活を、数万年、数十万年、いやいやもっともっと長い期間送っているわけで、その結果彼らの身体はそのような生活に適合した作りに遺伝的になっている訳です。別の言葉で言えば、そのような彼らを動物園の様な人工的な場所に閉じ込め、人間が食べるような衛生的な食物を与えていると、何らかの変調が生じても不思議では無いと思われます。実際問題としては、そのような食物問題よりも先に、狭い場所に閉じ込められる事から来る精神的な変調が顕著に現れます。一方で当然のことではありますが、外敵や仲間からの攻撃からは保護される結果、寿命は顕著に増加する場合も多い様です。

さて、少し脱線致しましたが、現代人の場合でも、相当ライオンに近い様な食生活を送っていた人々がおります。代表的な例を一つだけあげますが、それはいわゆるイヌイット、昔言うところのエスキモーの人々です。今から数十年前の本田勝一の三部作の中にイヌイットの生活を記述した有名な本がありますが、それによれば、彼らがアザラシを狩る時などは倒した獲物をその場で解体し、脂身や内臓などをその場で食べるそうです。もちろん生でです。持ち帰った肉などは煮て食べる様ですが、恐らくさらに古い時代ともなれば、これらの肉も生で食していたのでは無いのでしょうか?本来的には彼らの食生活は100%肉です。現代人から見れば不健康極まる食生活と言うのでしょうが、実際には、これらを生で食べることによりビタミンなどの栄養素はそのままの形で摂取出来ますし、バーベキューにしない分、焼き肉由来の発ガン物質なども生じませんので、寧ろ栄養学的には優れているのでは無いのでしょうか。

さて、イヌイットの例を挙げるまでもなく、我々のご先祖様は圧倒的に現代人よりも多くの微生物を食物から摂っていたのは間違いの無いところだと思います。センセが申し上げたいのは、「だから現代人もまた生で牛や豚のホルモンを食え!そしたら万事解決だ!」と言う事ではありませぬ。そうでは無く、「我々のご先祖は、過去数十万年~数百万年に亘って今よりもよっぽど多くの微生物をそうとは知らずに摂取していたはずであり、その結果、我々の身体もまた、そのように外部から大量に供給される微生物をあてにした作りになっているはずである。ところが現代になって急激に環境が良くなり、我々が食べる食物はクリーンそのものな代物と化している。このまま数万年も経てば、確かに遺伝子的に我々の身体はそのようなクリーンな状況に適応するのかも知れない。しかしながら我々は未だ原始人の遺伝子をそのまま引き継いでいるのであり、数万年先の「遺伝子レベルでの適合時代」まで待つ訳には行かない。この様な急激な食物の無微生物化が、我々の健康に対して全く影響を及ぼしてはいない、とは考えづらい。恐らく、多くの食用微生物関連の食物や健康食品、或いは医薬品などがかくも様々な疾病に対して幅広く効果を示すその理由は、現代人の食物由来微生物の摂取量が本来あるべき量に満たないからではなかろうか?すなわち食用微生物は、炭水化物、脂肪、タンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維に次ぐ、人類必須の第七の栄養素なのではなかろうか?」という事を主張したいのであります!

、、、、疲れました、、、。

ええっと、本質論は上に述べた通りですけど、このままでは未だ言葉足らずで誤解が生じるかも知れませんので、この続きはまた後日書きます。

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このページは、喜源テクノさかき研究室が2010年8月13日 20:32に書いた記事です。

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